膀胱炎かも?
膀胱炎について:繰り返さないための治療と予防のポイント
(急性)膀胱炎は女性に多く、頻尿(尿間隔が近い)、血尿、排尿時痛が主な症状です。
多くは排尿の終わりごろに尿道に不快な痛みを自覚します(排尿終末時痛と呼ばれ、膀胱炎に特有とされる症状です)。
特に基礎疾患などが無くても起こりうる疾患で、当院にはこのような症状を訴える女性の患者さんが多く来院されます。
膀胱炎は、比較的若年の女性が泌尿器科を受診されるきっかけとして最も多い病気、といえるかもしれません。
この疾患は、原因となる細菌が尿道から膀胱に侵入し、増殖して粘膜に炎症を起こすことによって起こります。
女性に圧倒的に多いのは、身体の構造上の理由が大きく関わっています。女性は男性に比べて尿道が短く、さらに出口が
肛門や膣と非常に近いため、細菌(主に便の中にいる大腸菌など)が膀胱へ入り込みやすいのです。
多くの原因菌は、私たちの腸内にいる身近な細菌であることが多いとされています(大腸菌・腸球菌など)。
外来ではよく「おしっこを我慢したから膀胱炎になったのでしょうか」と聞かれます。しかし、ヒトの尿路、すなわち
尿の通り道は無菌状態ですので、我慢しただけで炎症が起きるわけではありません。原因はあくまで「細菌の侵入」です。
必要な検査は下記です。
尿検査: 最も基本的な検査です。尿中の白血球(炎症細胞とよばれ、膀胱炎を起こすと尿中に多数見られるようになる)
や出血の有無や程度を調べます。さらには "尿培養検査と感受性試験" と呼ばれる検査も同時に行い、後述する初期治療で
治癒しない場合に備えます。培養検査は結果が出るまでに 1 週間ほどかかることが多いです。
超音波検査: 膀胱炎といっても、例えば尿路結石を合併していたり、もともと婦人科領域などで骨盤の手術を行っていて
それと関連する合併症として膀胱炎を起こしているときなど、複雑なケースではそういった病態の有無を確認するために
超音波検査を行うことがあります。
- 38 度以上の高熱
- 背中や腰の痛み(肋骨の付け根あたりを叩くと響くような痛み:CVA 叩打痛と呼ばれます)
- 吐き気、嘔吐、全身の激しいだるさ
治療方法は抗菌薬の内服になります。まずは検査結果が出るまで 3〜7 日(抗菌薬の種類によって異なる)内服
して頂き、次回の診察時の症状や尿所見を参考に、今後の方針を決定します。
抗菌薬の種類については非常に多くありますが、原則として元気な方で、いわゆる泌尿器科系の "持病" みたいなもの
がなければ第 1 世代セフェム系と呼ばれる、これまでに多くの使用経験がある抗菌薬を使います。
しかしながら本疾患は、"一回治ってもまた繰り返す" ことはよく経験します。このとき「なかなか治らないから」
と、漫然と抗菌薬を使っていると耐性菌と呼ばれる抗菌薬が効きづらい細菌が尿中で増加するリスクが高くなるため、
培養検査の結果などを確認して次の一手を考えます。
膀胱炎を何度も繰り返す方は今までどの抗菌薬を使ったのかという治療歴も重要になります。もしこれまで使った抗菌薬について
記録されている「My お薬手帳」があれば是非持参してください。
抗菌薬を飲み始めると、数日で嘘のように症状が消えることがあります。しかし、油断しないようにしましょう。
症状が消えても、膀胱の中にわずかに菌が残っていることがあり、自己判断で服用を止めると「耐性菌」を育てる原因になることが
あります。処方された抗菌薬は(アレルギーなどの有害事象がないかぎり)必ず飲み切り、約 1 週間後に再診して経過をを確認させ
てください。これが、再発を防ぐための鉄則です。
また、治ったあとも膀胱炎を繰り返さないために、今日から実践できるポイントをお伝えします。
- 水分をしっかり摂る:万人に共通の "ベスト飲水量" というのはないのですが、1 日 約 1 リットル以上は水分を摂るようにしましょう。
- 尿意を我慢しない: トイレを我慢しすぎない習慣をつけます。
- 性交渉後のケア: 交渉後は、寝る前に必ず一度排尿を済ませてください。 膀胱を空っぽにすることで、侵入した菌が繁殖する時間を防ぐことができます。
- 清潔の保持と注意: 温水洗浄便座(ビデ機能)の使いすぎは、周囲の菌を広げてしまうことがあるため、適度な使用に留めましょう。
- 体調管理: 疲労やストレスは免疫力を低下させ、膣内環境を悪化させます。十分な休養をとりましょう。
- 刺激物を控える: 治療中はカフェインやアルコールを控えると、膀胱への刺激を和らげることができます。
男性で排尿時の痛みは前立腺炎や精巣上体炎、性感染症に伴う尿道炎など別の疾患の可能性が高いです。
どちらの場合でも排尿に関する痛みや骨盤臓器、性器関連の症状については早期の泌尿器科受診をオススメします。
