「出すもの」はなるべくためないようにしましょう
尾籠(びろう)な話ですが、「うんち」のハナシを。
ヒトの腸の長さは約 6~8.5 m くらいで、大腸・小腸ともに男性より女性のほうが平均長が長いと報告されています。
この長い消化管、食べ物が通過して便として排泄されるのにどのくらいかかると思いますか?
成人でおよそ 60 時間という報告があり、およそ 2 日半は体内にとどまることになります。食べ物はかなりゆっくりと消化管を旅して肛門までたどり着くんですね。
ただし、食べ物が排便されるまでの時間に影響する因子は多数あり、いつも同じではありません。
例えばアルコールを飲むと排便までの時間は短くなります。院長はお酒が全く飲めませんが、学生時代、無理に飲んだときは必ずお腹を壊していました。炭酸飲料や乳製品も多くの場合、排便までの時間が短くなります。
実際の検証ではありませんが、昔の日本人は食事から排便までの時間が短かった、と考えられています。これは現代より食生活が質素で、消化のよいものを今われわれが食べている量よりも少ない食事で日々を過ごしていたからと言われております。
食事〜排便までの時間が短い ⇒ 大腸がんが少なくなる、という研究があります。
これは尿についてもあてはまり、前立腺肥大症などで膀胱内に残尿(排尿したあとに残っている尿)が多い方は膀胱がんが多い、という研究結果が韓国をはじめいくつかの地域から発表されています。
排泄物はなるべく速やかに体外に出したほうがよい(ただし下痢にならない程度の時間をかけて)ということは言えそうですので、運動やストレス回避でなるべく便秘を避けるようにしましょう。
慢性の便秘で悩んでいる方がいましたらぜひ当院で一度ご相談ください。大腸がんなどの大きな病気がないことを確認することが必要ですが、そういったものがなければ漢方でいくつか有効な方剤がありますので診察のうえでおすすめしたいと思います。