さまざまな職種の参加者が集まる、"明日からの診療に役立つ" 学会に参加してまいりました。
以前ブログにも書きましたが、現在日本で "診療科として最も基本的と認められている" 領域が 19 あり、すべて書くと「内科・小児科・皮膚科・精神科・外科・整形外科・産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・脳神経外科・放射線科・麻酔科・病理・臨床検査・救急科・形成外科・リハビリテーション科・総合診療科」となります。
総合診療科が一番最後に記載されているのは、この科が "最も新しい科" であるためで、2018 年に創設されたばかりです。創設当時、他の基本領域が学会(日本内科学会とか日本泌尿器科学会とか)と紐づいていたのに対し、総合診療については日本専門医機構による運営が始まりました(現在はどの専門医も機構と結びついています(これが本当にいいことかどうか・・・))。
この専門医。世の中的には「専門医」と聞くと極めて高度な診療を担っている雰囲気がありますが、これまでに幾度か社会からの批判を浴びてきた制度でもあります。というのは、院長は日本泌尿器科学会専門医・指導医資格を持っているのですが、前回の更新(2021 年)時は「学会参加・論文発表・学会発表」のみで単位が取得でき、その頃までは正直言って "ユルい" 更新条件だったからです。( "医師" は全員そうあるべきなのかもしれませんが)特に専門医は不断の学びがその資格維持のためには必須であるべき、という、社会からみて至極真っ当な意見が学会向けに投げかけられることもあったのです。
特に「更新のための試験がない」というところが問題視され、(院長は来年専門医・指導医更新なのですが)、2026 年から「専門医更新テスト」が課せられるようになりました。すなわち、来年から「専門医としてこのくらい知っておいて下さい」というラインが明確に引かれるようになるわけです。ただ、この更新テスト、来年からしばらくはオンラインでの受験ということになっており、おそらくは教科書やネットを参考にしながら回答ができてしまうと思われます。Chat GPT など生成 AI が超速で進歩している現在ですのでオンラインで問題文を出してからいくらでも時間をかけてよい、というスタイルだとおそらく全員全問正解となってしまいます。
きっと専門医機構も「回答に制限時間を設ける」とか対策を取ってくると思いますが、"絶対これだけは教科書とか見ないでもわかっておくべき!" という知識と "まあこれはなにかあったらどこに書いてあるかわかっていればいいよ" など、軽重をつけたりすることになるでしょう。前者を "必修問題" とか読んだりして。
一方 2018 年の総合診療科の専門医制度創設当時、日本専門医機構総合診療専門医検討委員会委員長であった千葉大学医学部附属病院総合診療科教授の生坂政臣先生がエムスリーという医療系プラットフォームによるインタビューで「総合診療専門医には、どこかの更新のタイミングで試験を課すことを考えている」「最初の専門医認定から内科、小児科、救急を除いた総合診療領域のみとし、同様の難易度の問題を指導医向けに作る」「会場に半日程度参集して専門医試験と同じような CBT(Computer Based Testing)形式で、暗記力を試すのではなく、例えばパソコンを持ち込んでもらい、実臨床と同様に調べながら臨床問題を解いてもらうイメージで考えている」と述べています。当時は「不合格者のための複数回受験も認め」、「将来は在宅受験も取り入れたい」とも述べています。院長は総合診療科専門医は取得できる見込みがありませんが(最低でもクリニック診療を 4-5 年離れてじっくり(総合診療研修プログラムに参加して)様々な臨床研修を受ける必要があるためなかなか難しい)、さすが新しい診療科。他の領域でやっていないことを積極的に取り入れようとする姿勢がみられます。
昨日から札幌で開かれていた「日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」に参加してまいりました(本日帰秦しました)。上記のような「新しいことをおこなう姿勢」というのは学会場でも感じられる場面が多くありました。
・企業の協賛が少ない ⇒ いわゆる COI (利益相反)が少なく健全な学会運営ができている印象。お昼のセミナーで付きものの「企業によるお弁当提供」もない
・ネクタイをしめているひとが少ない ⇒ 札幌といっても昨日は 29 ℃ でした。もう日本は亜熱帯みたいに暑いのですから、「学会場ではネクタイ」などの慣習は「リクルートスーツは黒」みたいなものと同様そろそろやめてもいいのではないでしょうか
・多くの基本領域(内科とか皮膚科とか泌尿器科とか)の学会場には医師以外の職種が極めて少ないのですが、本学会場にはたくさんの看護師や薬剤師を含めた医療職の方々が参加しており、様々な交流が図られていました(院長も師長といっしょに回ってきましたが、医師でも看護師でも理解できるセッションが多くあり、有益でした)
・若いひとが多い!学生のセッションなどが充実しており、昨今の学生や研修医など若手の間で「幅広く患者さんや地域を診る = 総合診療科」という流れが根付いてきていることがよくわかりました
現在医療を取り巻く環境は大変厳しく、医師のみの力や現在 40 半ばを過ぎた "古いヒトたちの意見" のみでは、とてもではありませんが何も解決できません。"チーム医療" という言葉がお題目にならないようにするためにも、これらについては院長が所属する日本泌尿器科学会も学ばなければいけないと感じました。
明日はこの "専門医機構" を例にとって、院長からみた "現代社会の病巣" について、織田信長がなぜ当時民衆から人気が高かったのか、を引き合いに出しつつ私見を述べてみたいと思います。
・・・ちょっと明日のハードルを上げすぎたかも知れませんが ^^;
