どんな疾患に対してもまずは初期対応ができる外来総合医になるために日頃注意している症状や病態ー耳鼻科編。
3 月 8 日。本日もアイツが飛び回っています。アイツですアイツ。あの憎っくき花粉ってヤツです。22 歳で花粉症になって以来、この時期が来ると院長は日々憂鬱になります。薬は飲んでいるんですけどねぇ。ただ、40 歳のときに副鼻腔炎で手術を受けてからはだいぶ楽になりました。あとは「年齢を重ねると症状が楽になる」というコトバを信じて日々なんとか耐えています。ただ、やはり秦野は山に囲まれた盆地。かなりの花粉飛散量で、なんとなく実家の茅ヶ崎にいるときよりも目がシバシバします。高校生の頃までは春が一番好きだったのですが、今は(温暖化のせいかものすごく短くなってしまいましたが)院長のベストシーズンは秋となりました。花粉が憎い。
ところで、花粉症を世界で初めて報告したのは誰だかご存知でしょうか。なんと日本人、しかも院長と同窓の東京医科歯科大学出身、斎藤洋三 先生です。1964 年、『アレルギー』という和文誌への報告でした・・・。この「和文誌」というところがポイントで、この論文を当時英文誌に報告し、受理されていれば、スギというだけでなく、植物花粉へのアレルギー的反応の発見者、ということで世界的な業績となっていたと思われ、そこだけが少し残念です。院長が学生時代はまだ大学で教鞭をとっておられ、聴講した記憶があります。穏やかな語り口で花粉症について教えてくれた先生で、毎日東京御茶ノ水で花粉の飛散量を調べている、と仰っていました。
花粉症に対する主診療科、というと耳鼻咽喉科ですが、現在「ふたりにひとり」と言われるほど国民病化した花粉症を耳鼻咽喉科の先生方だけで診るのはとても無理、ということで当院にも多くの患者さんが花粉症症状ということで受診されます。院長は自分もツライので、患者さんの気持ちがよくわかります。お薬で対応できる部分は是非お薬で、難治性・治療抵抗性のケースは耳鼻咽喉科の先生にお願いさせていただき、今年も診療しております。
さて、耳鼻咽喉科はヒトの生命・社会活動に極めて重要な呼吸・摂食や五感にかかわる診療科です。当院にもこれまで何例も耳鼻咽喉科関連の患者さんが受診されており、いくつかの疾患については診療方針をしっかり耳鼻咽喉科の先生に確認して対応するようにしています。もちろん院長が対応出来ない場合はすぐに紹介して専門の先生に診察いただくようにしているのですが。今回は代表的ないくつかの病態について紹介します。
- 正しい姿勢: 「座位で前傾姿勢(椅子に座って下を向く)」をとります。これにより、喉の奥に血が流れるのを防ぎます。鼻血が出たとき、なぜか多くの方は「上を向いて首の後ろを叩く」といった方法を連想してしまうのですが、これでは出血の好発点は圧迫できず、出た血液を飲み込んでしまうことになるので避けましょう。
- 適切な圧迫: 「小鼻(鼻翼)を親指と人差し指で強くつまむ」ことが基本です。
- 時間の徹底: まずは最低 5 分間、止まらなければ 15 分間、「絶え間なく」 押し続けることが重要です。途中で止まったか確認するために指を離すと、せっかく固まりかけた血が剥がれてしまいますので必ず「継続して 15 分以上」を守りましょう。
- 止まらない場合の処置: 15 分間の圧迫でも止まらない場合は、浸したガーゼを鼻腔に詰める "パッキング" を行います。しかしながらこれは留置したガーゼ遺残(取り出されずに残ってしまうこと。ヒトの鼻腔というのは結構広くて入れようと思えばガーゼは 10 枚くらいは入ってしまいます)リスク回避のためにも、こうなったら可及的速やかに専門医へ紹介となります。
- 急性喉頭蓋炎: 喉の奥の「蓋」の部分が腫れる病気です。食事を飲み込めないほどの痛み、よだれが出る、呼吸が苦しいといった症状がある場合は要注意で、最優先で気道を確保する必要があります。くもった声で前かがみになってなんとか呼吸しているような場合は要注意。
- 扁桃周囲膿瘍: 扁桃腺の周りに膿が溜まる病気です。口が開きにくい、声がこもる(含み声)などの特徴があります。口腔内からの観察で膿がたまっている部分が見えればよいのですが、見えない場合でこの病態を疑う場合は耳鼻咽喉科の専門医先生に相談するようにしています。
- 咽後膿瘍: 喉の裏側、脊椎前方の隙間に膿が溜まる病気です。徐々に首から胸部(縦隔と呼ばれる部位)まで膿が進展することがあり、ただちに専門的な治療が必要ですので(救急)搬送の対象です。
