メニュー

どんな疾患に対してもまずは初期対応ができる外来総合医になるために日頃注意している症状や病態ー耳鼻科編。

[2026.03.08]

3 月 8 日。本日もアイツが飛び回っています。アイツですアイツ。あの憎っくき花粉ってヤツです。22 歳で花粉症になって以来、この時期が来ると院長は日々憂鬱になります。薬は飲んでいるんですけどねぇ。ただ、40 歳のときに副鼻腔炎で手術を受けてからはだいぶ楽になりました。あとは「年齢を重ねると症状が楽になる」というコトバを信じて日々なんとか耐えています。ただ、やはり秦野は山に囲まれた盆地。かなりの花粉飛散量で、なんとなく実家の茅ヶ崎にいるときよりも目がシバシバします。高校生の頃までは春が一番好きだったのですが、今は(温暖化のせいかものすごく短くなってしまいましたが)院長のベストシーズンは秋となりました。花粉が憎い。

ところで、花粉症を世界で初めて報告したのは誰だかご存知でしょうか。なんと日本人、しかも院長と同窓の東京医科歯科大学出身、斎藤洋三 先生です。1964 年、『アレルギー』という和文誌への報告でした・・・。この「和文誌」というところがポイントで、この論文を当時英文誌に報告し、受理されていれば、スギというだけでなく、植物花粉へのアレルギー的反応の発見者、ということで世界的な業績となっていたと思われ、そこだけが少し残念です。院長が学生時代はまだ大学で教鞭をとっておられ、聴講した記憶があります。穏やかな語り口で花粉症について教えてくれた先生で、毎日東京御茶ノ水で花粉の飛散量を調べている、と仰っていました。

花粉症に対する主診療科、というと耳鼻咽喉科ですが、現在「ふたりにひとり」と言われるほど国民病化した花粉症を耳鼻咽喉科の先生方だけで診るのはとても無理、ということで当院にも多くの患者さんが花粉症症状ということで受診されます。院長は自分もツライので、患者さんの気持ちがよくわかります。お薬で対応できる部分は是非お薬で、難治性・治療抵抗性のケースは耳鼻咽喉科の先生にお願いさせていただき、今年も診療しております。

さて、耳鼻咽喉科はヒトの生命・社会活動に極めて重要な呼吸・摂食や五感にかかわる診療科です。当院にもこれまで何例も耳鼻咽喉科関連の患者さんが受診されており、いくつかの疾患については診療方針をしっかり耳鼻咽喉科の先生に確認して対応するようにしています。もちろん院長が対応出来ない場合はすぐに紹介して専門の先生に診察いただくようにしているのですが。今回は代表的ないくつかの病態について紹介します。

1. 鼻のトラブル:鼻出血と鼻腔異物
鼻のトラブルで最も頻度が高いのは鼻出血(鼻血)です。このとき大事なのが以下です。
  • 正しい姿勢: 「座位で前傾姿勢(椅子に座って下を向く)」をとります。これにより、喉の奥に血が流れるのを防ぎます。鼻血が出たとき、なぜか多くの方は「上を向いて首の後ろを叩く」といった方法を連想してしまうのですが、これでは出血の好発点は圧迫できず、出た血液を飲み込んでしまうことになるので避けましょう。
  • 適切な圧迫: 「小鼻(鼻翼)を親指と人差し指で強くつまむ」ことが基本です
  • 時間の徹底: まずは最低 5 分間、止まらなければ 15 分間、「絶え間なく」 押し続けることが重要です。途中で止まったか確認するために指を離すと、せっかく固まりかけた血が剥がれてしまいますので必ず「継続して 15 分以上」を守りましょう
  • 止まらない場合の処置: 15 分間の圧迫でも止まらない場合は、浸したガーゼを鼻腔に詰める "パッキング" を行います。しかしながらこれは留置したガーゼ遺残(取り出されずに残ってしまうこと。ヒトの鼻腔というのは結構広くて入れようと思えばガーゼは 10 枚くらいは入ってしまいます)リスク回避のためにも、こうなったら可及的速やかに専門医へ紹介となります
 
2. のどのトラブル:激しい咽頭痛と異物
「ただの喉の痛み」だと思っていても、実は数時間後に呼吸ができなくなるような病気が隠れていることがあります。有名な疾患を挙げておきます。のどの痛みで受診された際、当院では以下の「命に関わる疾患」がないかを常に念頭におき、患者さんにも説明するようにしています
  • 急性喉頭蓋炎: 喉の奥の「蓋」の部分が腫れる病気です。食事を飲み込めないほどの痛み、よだれが出る、呼吸が苦しいといった症状がある場合は要注意で、最優先で気道を確保する必要があります。くもった声で前かがみになってなんとか呼吸しているような場合は要注意。
  • 扁桃周囲膿瘍: 扁桃腺の周りに膿が溜まる病気です。口が開きにくい、声がこもる(含み声)などの特徴があります。口腔内からの観察で膿がたまっている部分が見えればよいのですが、見えない場合でこの病態を疑う場合は耳鼻咽喉科の専門医先生に相談するようにしています。
  • 咽後膿瘍: 喉の裏側、脊椎前方の隙間に膿が溜まる病気です。徐々に首から胸部(縦隔と呼ばれる部位)まで膿が進展することがあり、ただちに専門的な治療が必要ですので(救急)搬送の対象です。
これらの疾患のコワいところは一見すると「風邪」みたいな感じで歩いて来院される患者さんがほとんど、というところです。救命・後遺症回避のために一刻も早い専門医へのバトンタッチが欠かせませんので、発熱患者さんを「風邪とインフル/コロナだろう」と安易に思わずに、常に悪い方の鑑別も積極的に疑うようにしています
 
「こんなに鼻血が出て大丈夫かな?」「喉が痛くて水も飲めない」「単なる風邪のように思ったけどなんだか息苦しい」といった症状を自覚されたとき、当院のような地域のクリニックは患者さんが最初に医療機関を受診するときの受け皿になります。初期診療の「動きながら考える(Triage & Action)姿勢」こそが重要、と信じて初期対応の復習を怠らないようにしたいと思っています。
明日は眼科、明後日は皮膚科、明々後日は整形外科について、専門ではない当院に来られる患者さんのなかで比較的多く診る症状などについて述べてみたいと思います。

HOME

最新の記事

サプリメントや健康食品で『◯◯ に効く!』と謳っているものはたくさんありますが、何でも鵜呑みにせずに今回書いたことなどを参考にしてみてください。
SNS 上で、まだまだ若い大学の後輩が世間でいろいろ言われているのを見て『まあまあもう少し長い目であたたかく見守ってくれませんかね』と感じました。
松下幸之助 先生も『親孝行したいときには親はなし』と言っていますで忙しさを言い訳にせず親にはこまめに連絡します。
怒るな働け、これだけ言われたら何かと思いますが、その意味やこの言葉を残した先生の真意を知ると味わい深い。
何度も繰り返し読みましたが、読むたびに何かしら学べる目が離せない漫画を生み出した偉大な つげ義春 先生に感謝。
毎日未来に思いを馳せるのも大切ですが、ときどきは足元をみてみると意外とキレイなものがあったりします。
患者さんがカルテに記載されている自分の病名をみるとちょっとびっくりしてしまうことがある理由を簡単に説明します。
当院がある旧相模国西部は全国で戦乱が繰り広げられていた戦国時代の頃でも 100 年の平和を保っていました。
北条五代を描く大河ドラマを!という声が小田原市など関東の市町で高まっているそうなので院長も早速オンライン署名して応援してみました。
現在図書館で借りたビブリオミステリ『世界でいちばん透きとおった物語 2』を診療の合間に楽しく読ませていただいております。

ブログカレンダー

2026年4月
« 3月    
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME

AIチャットに質問