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どんな疾患に対してもまずは初期対応ができる外来総合医になるために日頃注意している症状や病態ー皮膚科編。

[2026.03.09]
院長はもともと泌尿器科医ですが、泌尿器科という診療科は日本と米国で成り立ちがだいぶ異なります。米国では外科の一分野として発展的に分離した、という歴史があるため、現在でも米国で泌尿器科医のレジデンシープログラムに入るには外科の研修(2 年間)が終わっている必要があります。
一方で日本の泌尿器科は当時医学の最高峰とされたドイツの流れを汲んでいるため、「皮膚泌尿器科」から分離して「泌尿器科」が誕生しました。そのため当初、日本泌尿器科学会は日本皮膚科学会と密に連携していました。ただ現在は皮膚科ー泌尿器科が特別強い結び付きがある、ということはなく、診療間連携は他の診療と同様になっています。ただ、近年増えている梅毒、また尖圭コンジローマやヘルペスなど、外陰部の皮膚疾患は皮膚科でも泌尿器科でも診療しますので、現在はお互いの知見を共有しあって発展していっています。
 
さて、そんな皮膚科ですが、当院は前院長時代に「内科・小児科・皮膚科」を標榜していたため、いまだネット上で当院の「皮膚科」が残っているサイトがあるようです。そのため皮膚科の患者さんが全体の 5-8% 程度いらっしゃいます。もちろん専門性の高い皮膚科疾患は信頼できる皮膚科専門医の先生に紹介させていただくのですが、初期対応できる病状についてはなるべく診させていただいております。そのなかでいくつかについて下記に書いておきます。
 
1. 白癬(水虫):確実な診断と保険診療のルール
「足がかゆいから水虫だろう」と自己判断して、市販の薬を使っている方は少なくありません。しかし、白癬(水虫)の診療において当院が最も注意しているのは、「検査による確実な診断なしに治療を開始しない」という点です。そのため当院では「水虫だと思うんですけど・・・」と言いながら来られた患者さんには可能なかぎり「真菌検査(白癬菌がいるかどうか調べること)」を徹底するようにしています。
このとき難しいのが白癬と似た症状を示す皮膚疾患(湿疹など)が多く存在すること。当院では上記のように必ず皮膚(とか爪とか)の一部を採取し、顕微鏡による真菌鏡検、あるいは培養検査を行うようにしています。そのために一時期院長は皮膚科の先生に「正しい検体の採取方法」を教えていただきました。その経験を活かし、しっかりと診断に足る検体量をとるようにしています。水虫は治療期間も長く「たかが水虫」とはとても言えない奥の深い疾患です。正しく診断し、ルールに則った適切な治療を完遂するようにこころがけています。
 
2. 蕁麻疹(じんましん):アルゴリズムに基づいた薬物療法
突然、皮膚が赤く盛り上がり(膨疹)、強いかゆみを伴う蕁麻疹。当院では、日本皮膚科学会のガイドラインに基づいた「特発性蕁麻疹治療アルゴリズム」に沿って診療を行っています蕁麻疹治療の主役は、眠気の少ない「第 2 世代抗ヒスタミン薬」の内服です。初診時には通常量を処方しますが、もしそれで効果が不十分な場合は、ときに「薬の量を 2 倍に増やす(倍量投与)」、あるいは「他の種類の薬に変更する」などのステップアップ検討します
 
また、蕁麻疹に関して、よくある誤解に対して当院では以下のように説明しています。
  • 「塗り薬は不要」: 実は、蕁麻疹のかゆみに対して塗り薬(外用薬)はほとんど効果がありません。原因は皮膚の深い部分にあるため、内服薬による全身的なアプローチが必要となります
  • 「ステロイド注射は慎重に」: ステロイドの注射は確かによく効きますが、通常の蕁麻疹では過剰な治療となるため、原則として不要と考えています
  • 「眠くなる薬に注意」: 昔からある「ポララミン」などの注射(静注)は、効果はありますが非常に強い眠気を引き起こすため、注意が必要です
蕁麻疹治療の目標は、単に「今のかゆみを止める」ことだけではありません。薬を使いながら「症状が全く現れない状態」を作り、最終的には「薬なしでも症状が出ない状態」を目指すことです。なるべくそのゴールに到着できるよう、ときには漢方薬なども使いながら治療するようにしています。
 
3. 軽度熱傷(やけど):傷をきれいに治すの処置
やけどの処置で最も大切なのは、受傷直後の対応と、その後の「湿潤環境」の維持です
まず、やけどでは何よりも "冷やすこと" です。当院では「15℃ 前後の流水で 20 分間洗う」よう指導しています。氷水や保冷剤は冷えすぎてしまい、かえって皮膚の組織を傷める(凍傷のような状態)リスクがあるため、水道水が最適なことが多いと考えています
また、水疱(水ぶくれ)は「天然の絆創膏」と言われます。水ぶくれができた場合、その大きさによって対応を変えています。
  • 6mm未満の小さな水疱: 破らずにそのままにしておきます。水疱の蓋が「天然のドレッシング材」として傷を守ってくれるからです
  • 大きな水疱: 自然に破れて不潔になるリスクがあるため、当院で清潔な針を用いて内容液を抜き、その後、適切に保護します
  • ステロイド軟膏: やけどの炎症を抑える効果は証明されておらず、むしろ感染を助長するリスクがあるため、初期治療では不要です 当院では、ワセリン基剤の軟膏とドレッシング材を用いて、傷口が乾かないように保護する処置を基本としています
ところで、火災などで煙を吸い込んだ場合、鼻毛が焦げていたり、口の中にススが付いていたりすることがあります。これは「気道熱傷」と呼び、後から喉が腫れて呼吸困難になる命に関わる事です。院長は大学を卒業してすぐに勤務した土浦協同病院で重症の熱傷患者さんを何度も目にしたことがあります(病棟が泌尿器科・皮膚科・耳鼻咽喉科・眼科で一緒だったため。ちなみに看護師の妻はその皮膚科処置を何度も介助していたので妻ほうがたくさん診ているとおもいます)。皮膚のやけどが軽く見えても、このような兆候がある場合は即座に専門病院への入院が必要となりますのでただちに搬送します(まだ当院で診たことはありません)
 
4. 動物咬傷(いぬ・ねこの噛み傷):あえて「縫わない」選択
ペットや野良動物に噛まれた傷は、見た目以上に汚染が強く、感染症のリスクが高い創傷です
 
噛み傷の治療で最も重要なのは、消毒ではなく「洗浄」です。当院では局所麻酔を行った上で、大量の水道水や生理食塩水(最低でも 250ml 以上、院長は 500 ml を目安にしています)を用いて、傷の奥深くまでしっかりと洗い流します。また、折れた歯や砂などの異物が残っていないか、細かくチェックします
 
通常の切り傷であれば縫い合わせますが、動物の噛み傷は原則として縫いません(開放創管理)。細菌を傷口に閉じ込めてしまうと、急速に細菌が増殖し、膿が溜まったり敗血症(全身への感染)を引き起こしたりするからです(顔などの美容的にどうしても必要な部位に限り、慎重に判断して縫合を検討することもありますが)
 
・・・かように開業医をしていると勉強すべき領域は広くあります。毎日少しずつ時間を見つけてなるべく初期対応はできるような医師を目指し日々格闘中です。そのためには様々な診療科の先生方との交流が大切。お互いの知識や経験を語り合う(勉強会などの)場には積極的に参加していきたいと思っています。

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