メニュー

どんな疾患に対してもまずは初期対応ができる外来総合医になるために日頃注意している症状や病態ー眼科編。

[2026.03.10]
1983 年 7 月に発売され、院長(当時 6 歳)の人生に大きな影響を与えたものがあります。それが家庭内ゲームの革命ともいえる任天堂・ファミリーコンピュータです。ファミコンですね。院長はこれがとにかくもう大好きでした。はじめて買ってもらったソフトが "ロードランナー" でした(ちなみに同時に 2 つ上の兄が買ってもらったのが "アーバンチャンピオン")。ですからいまでもロードランナーは全面クリアできる自信があります。埋めたロボットのアタマを踏みながら進んだあの頃が懐かしい・・・。知らないひとにとっては全く意味がわからないと思いますが。
 
そんなファミコンが院長の人生に与えた影響。それは近視。スーパーマリオ、影の伝説、マイティボンジャック、魔界村、スパルタンX、火の鳥、悪魔城ドラキュラ、グーニーズ、高橋名人の冒険島、そして今でもやりたいドラクエ・・・。まあ何時間をゲームに費やしたかわかりません。しかも当時駒井家で院長が座る位置はテレビに対して右斜め前でした。斜めからテレビをみながらファミコンをひたすらやっていた影響か、今でも院長は右眼ばっかり悪い、アンバランスな視力になってしまいました。なので小学校 2 年時から現在に至るまで、ひたすら 42 年、メガネをかけ続けており、眼科の先生には何回お世話になったかもうわかりません。もうメガネも 20 個目くらいじゃないかなぁ。
 
今回はそんな眼科についてのハナシを一昨日の耳鼻咽喉科、昨日の皮膚科に続いて紹介してまいります。こういった病状の患者さんは当院に来られることもありますし、医師会で当番制となっている「休日夜間急患診療所」に来られるので院長自身の備忘録としても書いてみます。
 
1. 眼球表面異物と化学眼症
目にゴミが入る、あるいは洗剤などの薬品が目に入るといったトラブルは、家庭や職場で非常に多く発生します。これら「眼表面異物」、あるいか特に薬品による「化学眼症」については、(特に後者では)命に関わる救急疾患と同じレベルの緊張感を持って対応すべきで、本来ならただちに眼科に行くべきです。しかしながら近隣の患者さんがときどき来られることがあり、その際は以下のことに注意しています。
  • 受診前の洗浄: もし化学眼症を疑うようなエピソードの患者さんが眼をおさえながら飛び込みで来院された場合、(本当はその場で水道水による 15 分くらいの洗浄をしてほしいところですが)、生理食塩水を用いて目の周りも含めて 30 分ほどしっかり洗浄
  • アルカリ性は特に危険: 危険な化学物質は多種多様ですが、特にアルカリ性物質(石灰、セメント、カビ取り剤、一部のシャンプーなど)は組織を溶かしながら奥へ浸透する性質があるため、重症化しやすい特徴があります。検尿でつかうテステープとよばれるリトマス試験紙のような酸性/アルカリ性が判定できる検査紙を用いて pH をチェック。強めのアルカリを示す場合はただちに近隣の眼科専門医かまたは救急医に連絡しつつ、洗浄して pH 7.0-7.5 になるようにしつつ搬送の準備をします
  • 眼表面異物の場合、意外と見過ごされやすいのが上眼瞼(上まぶた)裏の確認で、この部分は異物や薬品が残りやすいため、しっかり翻転(子供がときどきまぶたを裏返してふざけているアレです)させて確認します
とにかく眼は命に関わらない、とは言いつつも五感のなかで極めて重要な視覚を司る器官です。失明に至ることがないよう、眼科専門医につなげるまでの対応ができるように常に心がけています。
 
2. 網膜中心動脈閉塞症:治療のゴールデンタイムは「100分」
この疾患はキーワードがあり、「突然、片目が痛くないのに、ほとんど見えなくなった」。この訴えを聞いたら、われわれ医療者は慌てます。なぜならこの訴えは眼科における脳梗塞とも言える、「網膜中心動脈閉塞症」が真っ先に疑われるものだからです。この疾患は、網膜に血液を送る中心の血管が詰まってしまうことで起こります。網膜の神経は非常に繊細で、血流が途絶えると短時間で回復不能の状態になることがあります。そのため、治療のゴールデンタイムは発症から100分以内とされており、この時間内でいかに眼科専門医につなげるかが、その患者さんの "眼寿命" を左右します
うまく電話が眼科専門医につながって搬送、となった場合に必ず行うのが「眼球マッサージ」。 親指で眼球を数秒間グッと押してパッと離す動作を繰り返すか、両手の人差し指で交互に交互に、1 分間に 100 回くらいのペースで押します。このマッサージにより眼圧を急激に変化させることで、血管に詰まった栓(塞栓)をより末梢の細い血管へ押し流し、少しでも血流を再開させることを狙います。とにかく早く眼科の先生に診てもらって対応していただくことが大切な疾患です。
 
3. 緑内障発作:内科疾患との見分けが最大の鍵
最後に、激しい頭痛や吐き気を伴う「急性閉塞隅角緑内障(緑内障発作)」についてです。この疾患の恐ろしさは、目の症状よりも「頭痛・嘔吐・腹痛」といった全身症状が強く出ることがあり、しばしば胃腸炎や脳疾患と間違われてしまう点にあります。勤務医の頃、入院中の患者さんが発症した経験がありますが、その際も症状は「頭痛・吐き気」だったことを思い出します。
 
当院には、眼科のような精密な眼圧計がありません。しかし、まぶたの上から眼球を触る診察で、ある程度類推できます。「机のようなカチカチの硬さ」なら、それは緑内障発作を疑うサイン。ただちに搬送を考えます。
 
また、緑内障発作は、もともと「隅角(目の水の出口)」が狭い人に起こりますリスク要因として高齢者、遠視(眼球の前後径が短い)、女性、家族歴がある方などが該当します。疑った場合は「ペンライト法」といって、目の真横から光を当て、虹彩(茶目)の鼻側に影ができるかどうかで、隅角の狭さを予測することができるといわれていますが、眼科医でないとなかなか自信をもってこの診断で診療を進めていくほど確信は得られないので、やはり搬送を考えるようにしています
 
眼科領域でなにか急な病態が発症した場合、われわれ非眼科医の役割は「緊急度を適切に把握し、必要ならば速やかに専門医へバトンタッチすること」にあります。そのためには「眼のバイタルサイン」を知っておくことが必要で、
  1. 視力: 左右で差はないか、急に落ちていないか
  2. 視野: 見えない部分はないか(対座法)
  3. 瞳孔: 左右の大きさは同じか
  4. 動き: 目を動かしたときに痛みや違和感はないか

をリスト化して確認するようにしています。

・・・ただ、いずれにしても眼科は専門性が高く、対応の遅れによりその後の人生にきわめて重大な影響を与える分野です。歯科もそうですが、1 年に少なくとも 1 回は眼の健康診断を受けましょう。メガネの院長からのオススメです。

HOME

最新の記事

学生時代に書いた文章がひょんなところから出てきて現在の自分の半分しか生きていないかつての自分を微笑ましく眺めるキモチになりました。
院長はコーヒーが飲めないのでレストランで食後はいつも "産地や飲み方で味わいが変わる世界で最も飲まれているお茶" をいただいております。
たとえ実感として腑に落ちなくても "ものごとを理解したり解決するのに便利だから使う" という姿勢は医師にとって大切だと思うのです。
最近ヒトの顔を見るときについつい "ジッ" とみてしまうところ。
5 年に一度の専門医・指導医更新を終えての雑感。
40 年前に初めてドラクエをやったのは友達の家でしたが、その場所や部屋のレイアウト、その家のお母さんが持ってきてくれたお菓子とジュースを今でも覚えているくらい衝撃を受けました。
40 年経っても色褪せない大好きなミステリ実写化の演出が素晴らしかったので是非おすすめしたい『十角館』。
どの役者さんも本当に演技が素敵で引き込まれ、息もつかせぬストーリーで一気見したくなるドラマ、『シナントロープ』を観て来院してくれる患者さんにあらためて感謝。
新しい時流を見極めることは大切ですが、一方で "古いモノをすべて否定する姿勢" は避けるべきで、温故知新というコトバは常に持っていきたいです。
『チ。』を読んでいて素敵なコトバに出会いましたー"文字は奇跡" 。

ブログカレンダー

2026年9月
« 8月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME

AIチャットに質問