チェーン店であってもその内実はいろいろと異なるのは日本の保険医療機関と似ているような気がしました。
"直美" など、保険診療とは異なる医療が増えてきたもの、日本ではまだまだ医療機関のほとんどは保険診療をしています。保険診療とは原則として「全国どこでも、どの医療機関でも、同じコストで一定水準の均質な医療を受けられることを原則」としています。これにより、全国一律のアクセス・適正な医療費・診療の安全性などを担保してきたのですが、最近は過疎化や医療者の偏在化などでこれら医療の質が担保しづらくなってきている現状があります。そんななか、「チェーン店であるものの、その店ごとに特徴がある」という、街の診療所・クリニックのようなお店に昨日行ってきました。
昨日当院から歩いて 20 分ほどのところにある「ラーメンショップ げんき」さんです。ランチをしてきました。これまで「ラーメンショップ」というのがいろいろなところにあるな、と思っていたのですが、行くのは初めてでした。これは日本各地にある老舗ラーメンチェーンで、特に関東のロードサイド文化と強く結びついているそうです。赤い看板に「うまい ラーメンショップ うまい」と書かれているあの店、ですね。「げんき」さんは店員さんがすべて女性で優しい雰囲気のお店でした。
特徴をひとことで言うと、「豚骨醤油ベース+大量ネギ+背脂+中細麺」の、“現場仕事帰りに食べたくなるラーメン”です。代表的なのは「ネギラーメン」「ネギチャーシュー」。
・豚骨ベースだけど、九州豚骨ほど濃厚ではない
・醤油感がしっかり
・背脂が浮く
・ごま油や豆板醤で和えた白髪ネギが山盛り
・中細ストレート麺
・店によって味がかなり違う
この「店ごとの差」がラーショ文化の面白いところです。実はラーメンショップは、完全な統一チェーンではなく、暖簾分け・FC・独立色がかなり強い業態です。そのため、
・めちゃくちゃ美味い神店舗
・昔ながらの渋い店舗
・朝 6 時から営業する “朝ラーの聖地”
・なぜかトラック運転手に異様に支持される店
など、かなり個性があります。
ラーメン好きの間では有名ですが、横浜家系ラーメン総本山、「吉村家」 の創業者・吉村実さんは、若い頃にラーメンショップ系で修業したと言われています。そのため、
・豚骨醤油
・鶏油・脂感
・太めの味
・ライスと合う
など、「家系ラーメンの源流の一つ」として語られることもあります。ただし現在の家系よりは、ラーショのほうが
・スープが軽め
・麺が細め
・ネギ推し
・ジャンク感が強い
印象でしょうか。
ラーショは、チェーンなのに「均一ではない」のが逆に魅力です。ラーメン好きの会話で、
・「◯◯店は神」
・「△△店はネギが違う」
・「朝ラーなら ▢▢」
みたいな “ローカル町中華” っぽい語られ方をします。しかも店舗によっては、
・朝 5 時台営業(当院からほど近い厚木のラーメンショップ椿など)
・深夜営業(埼玉県川口市のラーメンショップマルナミは 21:00 開店(閉店が 15:00 という尖った営業時間))
・駐車場が広い(大型トラックが余裕で停められるラーメンショップ 122 号騎西点(埼玉県加須市))
・幹線道路沿い(横浜のラーメンショップ岡津町店は県道沿いでドライバーが入りやすい)
など、完全に「働く人のインフラ」みたいになっています。特に関東圏では、トラック運転手・建設業・夜勤明け勢からの支持が非常に強いです。
ラーショには独特な空気感があるようで、
・少し年季の入った店構え
・カウンター中心
・水セルフ
・常連が多い
・朝からニンニク臭い
・BGM が古風(演歌、ラジオ、テレビなど。有線はまず入っていない)
・健康に悪そうなのに妙にまた食べたくなる
という、「昭和ロードサイド文化」の香りが残っています。
最近のクリニックは外観も内装もキレイにしているところが多いですが、今後はラーメンショップのように、あえて「昭和レトロ」な感じで(あくまでも雰囲気は) "昔ながらの診療所" を体現するような医療法人が出てくると面白いですね。ただ、保険診療が今後もこれまでのように「均質な医療」を提供できるかどうかについてはちょっと未知数な気がする日曜の昼下がりでした。
