テストステロンとすご〜く関連しているミッドライフ・クライシスは本当の自分を認識するのに必要なライフイベントなのかもしれません。
ミッドライフ・クライシス。検索するとたくさん出てきますね。ここ数日間で述べてきたテストステロン・(いわゆる)男性更年期と大きく関わるフェーズです。今回はここからハナシを始めます。
ヒトという生き物は、若い頃は「未来」に向かって走っています。勉強する、就職する、結婚する、子どもを育てる――いわば人生の前半は “拡大のフェーズ” です。ところが 40 代くらいになる頃でしょうか、これは平均寿命の半分に差し掛かる頃と一致するのですが、少し様子が変わります。
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若さが確実に終わり始める
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親の老い・死を意識する
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子どもが自立し始める
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仕事もある程度の位置まで到達する
ここで皆ふと気づくわけです。「人生は無限ではない」という、ごく当たり前の事実に。このときに生まれる疑問が、ミッドライフ・クライシスの核心となるわけです。
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自分はこれまで何をしてきたのか
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このままの人生でいいのか
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本当にやりたいことは何だったのか
その結果として、
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急に仕事を変えたくなる
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若い頃の夢を思い出す
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趣味や学び直しを始める
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ときに落ち込みや不安が強くなる
といった変化が起こります。
ここで面白いのは、著名な心理学者・精神医学者 が「発達段階」と考察している点です。その考察では中年期のテーマは 「生成性(generativity)」 と定義づけられています。これは「次の世代に何を残すか」ということ。つまりミッドライフ・クライシスは、単なる危機というより 人生後半に向けた再設計のタイミングとも言えるわけで、これは先日紹介した "更年期" の本来の意味(人生の段階が切り替わる時期、を表すニュートラルな用語)とかぶります。
この現象はかなり "人間らしい" もので、もしヒトが「ただ老いて終わるだけの生き物」なら、こんな悩みは生まれないハズです。「残りの人生をどう使うか」と真剣に考えてしまうところに、ヒトという、(自分が生きている現世のみではなく次世代や近い将来のことを考える)面白い生物の特徴が表出しているのかもしれません。
ちなみにいくつかの研究で、人生における幸福度は "U字カブ"(若い頃は高く、中年期でいったん落ち込み、その後また上がる)を描く傾向が知られています。つまりミッドライフ・クライシスは、人生の谷というより 次の山に向かう峠みたいなものかもしれません。
古代ローマの政治家であり哲学者であるセネカの名言に
人生は短いのではない。
我々がそれを浪費しているだけだ。
という、まあなんというか、「ごもっとも!」というのがありますが、中年期になるとヒトはこの言葉を「理屈」ではなく「実感」として理解し始めます。院長もちょうどこの年代に入ってもう数年が経過し、まさに "クライシス" の真っ只中にいますが、この危機を「衰退の始まり」ではなく、「本来の自分」になるための肯定的なチャンスと捉え直そうと思っています。
