ヒトの体は有機的にできているのでときに人間が勝手に決めた「◯◯ 科」だけでは対応できない病状で来院される患者さんがおられます。
前置きが長くなりました。音楽について言い出すとつい色々書いてしまうのが悪いクセです。さて、今回は「◯◯ 科の症状かと思ったら実は △△ 科にも通じる」みたいな疾患を紹介してみます。こういった多領域にわたる疾患をよく「学際的疾患」と呼んだりします。これは、病気そのものが一つの臓器や一つの診療科のなかでおさまらない、ということを示していて、このような疾患は数多くあります。「消化器」「腎泌尿器」「循環器」「呼吸器」などはすべてヒトが勝手に決めた分類。便宜上の分け方です。人体はそういったヒトの都合とは別。縦割り行政ではなく統合的なシステムですので、こういった疾患は普通にあるわけです。
まずは慢性疼痛と呼ばれる症状。腰痛症、線維筋痛症、慢性骨盤痛が代表的で、過敏性腸症候群や変形性関節症など、様々な疾患がこれにあたります。対応する診療科も整形外科・神経内科・泌尿器科・心療内科・消化器内科・ペインクリニックなど。画像所見が乏しい一方で、自律神経失調、心理社会的要因、睡眠障害など数多くの要因が絡み合い、「痛み=組織損傷」という単純モデルが通用しないことが多いです。痛みが気持ちを落ち込ませ、さらにまた痛みが増幅される、みたいな負のスパイラルに入ることがしばしばあります。
似ている症状として慢性疲労・倦怠感も学際性に富みます。甲状腺などホルモン異常で発症することもありますが、特に更年期障害のひとつとしての症状や過労、持続的な神経緊張、さらには貧血や COVID-19 など感染症、ときに がん の化学療法終了後長期にわたり起こることもあります。
失神・立ちくらみ・ふらつき を訴えるときも、そこから想定される疾患は多岐にわたります。循環器(不整脈、起立性低血圧)、神経内科、自律神経、耳鼻科、内分泌あたりが親和性高いですが。ただ、最近体位性頻脈症候群(POTS)など、横になっているときから立位になったときに心拍数が上昇して起立不耐症(立位の維持が困難になる)になる疾患などは、特に若い女性に多く、「ありふれた疾患であるものの、きちんと検査されていないため患者さんご自身も「まぁ、ちょっと時間たてば楽になるし・・・」みたいな感じで医療機関を受診しないことが多く、スルーされることが多いです。
この学際的疾患、特徴は「スルーされることが多い」ということです。というのは、「ただちに生活・仕事に大きな影響が出ることは少ない」「症状の説明がしづらく、受診がおっくうに感じてしまう」「どの診療科に行ったらよいかわからない」ことがしばしばあるからです。
そしてそういった学際的疾患の代表格、「睡眠時無呼吸症候群」。これについては明日、その「学際性」や「スルーされてる度」を中心に紹介してみたいと思います。学際的疾患は「患者さんを、その "人間丸ごと" で診ないといけないことが多い」です。なんでも細分化される世の中に逆行しているようですが、なるべく多くの症状に対応できるよう日々学び続けてまいりたいと思います。
