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一石二鳥・三鳥・四鳥になるかもしれない治療薬

[2024.05.18]

当院で 2 型糖尿病と診断され、診療を受けておられる患者さんは 300 名以上いらっしゃいます。そのなかでインスリン投与が必要な患者さんは原則として糖尿病専門医の先生に診ていただき、こちらでは内服薬(=経口血糖降下薬)を用いた治療を行っています。

現在、経口血糖降下薬は本当に多くの選択肢があり、そのなかで SGLT2(ナトリウム-グルコース共輸送体 2)阻害薬という、尿中への糖排泄を促進するタイプの薬があります。

腎臓では血液を取り込み、尿細管と呼ばれる部位でミネラルやタンパクを調整するために再吸収することで尿を生成します。SGLT2 阻害薬は、腎臓におけるブドウ糖(グルコース)の再吸収を抑えることで尿中にグルコースを排泄し、血糖値を低下させます。

この SGLT2 阻害薬、経口血糖降下薬なのですが、体重減少・血圧低下・心血管イベント(狭心症や心筋梗塞など)の抑制・腎保護作用など、多岐にわたる効果が数多くの論文で示されています。さらに最近は肝機能障害にも有効ではないかという知見も出てきており、もしかしたら健康でも飲んでおいたほうが長生きできるのではないかと疑うほどの利点が報告されています(もちろん副作用もあるのでそんなことはできませんが)。

その SGLT2 阻害薬が腎結石の生成も抑制するかも、という論文が四谷メディカルキューブ泌尿器科の阿南 剛 先生らのグループから 2022 年に発表されています(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1043661822004704?via%3Dihub)。これは大変興味深い知見で、ひとつの薬が様々な効能を有する、というのは漢方の世界で言う「異病同治(様々な症状をひとつの薬で治す)」に通じる、極めて効率の良い治療につながります。

もちろん現在の保険診療で腎結石の患者さんにこの SGLT2 阻害薬を投与できるわけではありません。日本の保険診療は「病名に対する治療に保険が利き、原則として予防治療には利かない」からです。

ただし、今後医療費抑制のためにはむしろ予防医学の向上を図るほうが効率的ではないかと院長は考えます。

そのためには「患者」と呼ばれる前の「未病」と呼ばれる段階で各人がセルフケアをして健康的な日々を送るように努めることが重要でしょう。

明日はそのために有効と思われるサプリメントの話を少しだけ。紅麹の一件でだいぶサプリメント離れがみられるようですが(知り合いのドラッグストア薬剤師先生が入っていたことなのでデータに基づくものではありません)、正しく使えばサプリメントは健康増進に役立つこともよくみられますのでそのあたりについて述べてみます。

写真は Anan G, et al. Pharamacol Res 2022. より。

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