今月漢方についての講演会で演者を務めますが、泌尿器科医としての視点もしっかりいれつつためになる内容にしますので可能な方はぜひご参加ください。
今度漢方に関する講演を行います。自分はまだまだ漢方を学んでいる道半ばにも達していないくらいだと思っておりますのでいつもこういった講演のお誘いには「荷が重い・・・」と感じてしまうのですが、勤務医時代からの「依頼された原稿と講演は(よほどのことがないと)断らない」、をモットーに、あまり節操なく引き受けております。とりあえず今回の講演内容については明日からの GW を十二分に活用して入念に準備しておきたいと思っております。興味がある方はぜひよろしく。
現代の医療現場では、西洋医学を中心に診断・治療が行われています。科学的根拠、すなわちエビデンスが豊富な分野においては、エビデンスに基づく検査や治療法は、救急現場や外科における術式の選択、感染症の対応などにおいて非常に高い効果を発揮します。
一方で、漢方薬をはじめとする東洋医学(伝統医学)は、体全体のバランスを整えるという視点を大切にしており、慢性疾患や未病(病気とまではいかないが不調を感じる状態)、体質改善などの場面で力を発揮します。
この2つの医学体系は対立するものではなく、むしろ補完し合えるものです。実際、当院でも「西洋医学+漢方(東洋医学)」の視点から診療を行うことで、患者さんの QOL(生活の質)向上に貢献していると自負しています。今回は、その具体的な工夫や取り組みについてご紹介します。
「検査では異常がないのに、体がつらい」「薬を飲んでいるのに、なんとなく治りきらない」――こうした声は、臨床の現場で少なくありません。西洋医学は“病気”を特定し、それに対する“原因”や“治療法”を明確に示すことを得意とします。一方、東洋医学は“人”を診て、個々の体質や生活の乱れに着目しながら、心身全体のバランスを整えることを目指します。
たとえば「冷え症」。これにあたる西洋医学的な病名はなく、漢方が治療の主体になります。ただし同じ「冷え症」といっても体質や生活背景によって用いる漢方の方剤は異なります。証(しょう)と呼ばれる東洋医学独自の診断方法をもとに、その方にあった対応を考えることで、より深い部分へのアプローチが可能になります。
当院で行っている具体的な取り組みとして
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初診時から“東洋医学的視点”も取り入れる
問診票には、西洋医学的な症状の確認だけでなく、「冷え」「のぼせ」「疲れやすさ」「眠りの質」「食欲」「便通」など、患者さんの症状によっては漢方診療に必要な情報も問診にいれるようにしています。これにより、必要に応じて初診から漢方も選択肢のひとつとして挙げるようにしています。 -
漢方薬と西洋薬の併用
高血圧や糖尿病といった生活習慣病、過敏性腸症候群、月経困難症、慢性疼痛などでは、西洋薬による症状のコントロールに加え、漢方薬で体質改善をはかることで、再発の予防や副作用の軽減が期待できます。もちろん、相互作用や副作用には十分に配慮し、安全な併用を心がけています。 -
スタッフ間の連携と継続的な研修
当院に医師はひとりしかいません。独力で行えることには自ずと限界があります。そこで 4 名在籍している看護師にも、日々院長の行っている漢方薬処方に興味を持ってもらい、看護師による問診時に患者さんからの相談に柔軟に対応できるよう努めています。先月から漢方処方に AI を取り入れたツールを導入しました。これについてはまたの機会に紹介しますが、こういった日常診療そのものが漢方関する臨床研修となるように工夫しています。 -
院長のレベルアップ 院長は時間の許す限り、木曜日に東海大学東洋医学教室の教授である 野上 達也 先生の漢方外来に陪席し、エキスパートの処方内容を勉強させていただいております。野上先生はまだまだエビデンス構築が不十分な漢方について現代的な医療統計をしっかりと用いてその再評価を行っている、まさに「現在の漢方名医」として精力的に学術活動をされている漢方医で、いつも大変刺激をいただいております(なかなか毎週陪席できないのが残念なのですが・・・)。
- 患者さんとの「対話」を重視
東洋医学を取り入れる上で大切なのは、患者さんご自身が「自分の体をよく知る」ことです。「なぜこの薬を使うのか」「どういう体質傾向があるのか」を可能な限り丁寧にお伝えし、セルフケアのヒントにもつなげていただけるように心がけています。また、漢方薬は即効性よりも、じわじわと体質に働きかけるというケースがあります。ですので、患者さんのライフスタイルやご希望に合わせて、続けやすい方法を一緒に考えることも大切です。
これからの医療は「病気を治す」だけでなく、「健康を育む」時代です。西洋医学の精密さと、東洋医学のやさしさ。どちらも活かしながら、患者さん一人ひとりに最適な治療法を一緒に考えていく。それが、私たちの目指す医療のかたちです。
お体の不調や気になる症状があれば、ぜひお気軽にご相談ください。西洋医学と東洋医学、それぞれの強みを活かして、しっかりサポートさせていただきます。
