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今週はダイアベティス(糖尿病が旧呼称になるか)の治療薬について紹介します

[2024.09.01]

少し前のブログでも紹介しましたが、2023 年 9 月 22 日に日本糖尿病学会と日本糖尿病協会は糖尿病の新しい呼称として、「ダイアベティス」を提案すると発表しました。今後 2 年程度をかけ糖尿病患者さんや医療従事者から意見を聞いて、最終的な呼称変更についての決定を下すそうです。すなわち病名変更の提案ではなく、あくまでも呼称変更です。

そもそも糖尿病という用語自体は 1907 年、日本内科学会が制定したものです。しかしながらこの疾患は必ずしも尿から糖が出ないこともあり、現在は糖尿病でなくても「糖分を尿に排泄する」治療薬が心不全や慢性腎臓病の治療に使われることもあるため、病名が実態を正しく反映していないと以前より指摘されていました。

さらに糖尿病という言葉には、そのひとの生活習慣が悪い、という、「本人が悪いからこの疾患になったんだ」という誤った認識に陥る危険性を含んでいます。そのため、特に 1 型糖尿病(若年で発症することがしばしばあり、自身の免疫細胞により膵臓のインスリンを分泌する β 細胞が破壊されてしまうタイプの糖尿病。インスリン注射が必要)の患者さんの中には、病名に伴う偏見を恐れて友人や周囲のひと、ときには恋人にも病名を伝えられない方がおられます。友人の泌尿器科医師からも「なにか持病がありますか?と聞いたときになにもない、と言っていた患者さんが実は 1 型糖尿病だったことがあってびっくりした」と聞いたことがあります。その患者さんにとっては、医師にさえなるべく隠したい病名だったのでしょう。

こういった「糖尿病に対する誤った認識が偏見」は "糖尿病スティグマ" と呼ばれます。スティグマを放置すると、適切な治療をすればなんの問題もなく生活できるのに治療を投げ出してしまう患者さんがいたり、社会で活躍できないと誤解したりしてしまい、日本全体にとっても大きな損失となります。

当院は小さなクリニックですが、そういった糖尿病に関する知識を少しでもこのブログを読んでくださるひとに深めていただくために今週のテーマは糖尿病とし、現在使用できる糖尿病治療薬についてわかりやすく記載してみたいと思います。

糖尿病はすべての病因が「本人のせい」ではありません!糖尿病患者さんに対して「自己責任」のような言葉をなげかけるのは絶対にやめましょう。

日本糖尿病協会のウェブサイトより。ここに書いてあるように「糖尿病をもつ人は、あなたと同じ社会で活躍できるひとです。」

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