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前立腺は自然の ◯◯◯ 装置?

[2023.05.19]

現在、男性のがん罹患数トップは前立腺がんです。しかしながら、自分が研修医だった 2001 年の頃は確かベスト 10 以内にやっと入ったくらいでした。前立腺疾患は、肥大症も含めて現在非常に多くの患者さんがおられ、勤務医時代、がんの手術件数は前立腺:腎:膀胱腎盂尿管:その他が 4 : 2 : 3 : 1 くらいで仕事の 40% を前立腺がんが占めていました。泌尿器科診療において、そのくらい前立腺疾患は存在感があります。

自分はあまり真面目な医学生ではなく、系統講義をサボることもありましたが、たまたま出席した泌尿器科の講義で当時の先生が「前立腺は自然の安楽死装置である」と言っていたのをよく覚えております。少し誤解を生むような表現ですが、その先生は「江戸時代であれば前立腺がんはもちろん、前立腺肥大症で排尿できなくなった男性は命を失うしかなかった(肥大症で尿が出せなくなることを尿閉と言いますが、この病態は極めて危険で放置されると腎不全から致命的になります)」ことを学生に印象づけるために極端な一言で言い表したかったのだと思います。

現在は中近世と異なり、前立腺がんも前立腺肥大症も本当にたくさんの治療選択肢があります。当院で行っているのは専ら薬物治療ですが、今後は低侵襲治療を順次取り入れてまいりたいと思っております。いずれにしても排尿に関してなにか症状ありましたらお近くの泌尿器科専門医へ!

↓  前立腺安楽死装置のイメージ図。当院看護師長がわかりやすく描いてくれました。

 

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