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医師業は、はじめオペレイショナルで徐々にクリエイティブな割合が増えていきますが、ほとんどの臨床医はベテランになっても後者の比率が 50% を超えることはあまりないように感じます。

[2026.02.24]

芥川龍之介賞。作家に憧れた(一応今でも憧れている)院長からするともうその受賞者は雲の上の上のそのまた上くらいの存在に思えます。歴史あるこの受賞者のなかで医師は院長が調べた限りでは 3 名。北杜夫先生(『夜と霧の隅で』)・南木佳士先生(『ダイヤモンドダスト』)・朝比奈秋先生(『サンショウウオの四十九日』)です。院長が大好きな『壁』も受賞作ですが、安部公房先生は医師業はやっておらず、卒業も「医業を行わない」ということを前提とした条件付きであった、ということで医師国家試験も受けておりませんので割愛しました。どの先生方もその創造性(クリエイティビティ)が素晴らしいです。

医業という仕事はしばしば「クリエイティブなのか、オペレイショナルなのか」という議論がなされます(note というプラットフォームでも同じトピックがあります(https://note.com/011235813/n/nd5deae1953bb))。ここでは

クリエイティブ・・・ゼロから何かを生み出すこと、または既存の枠組みを超えて考えること

オペレイショナル・・・決められた手順やガイドラインに沿って、安定した結果を出す能力のこと

と定義しましょう。

医師業には、クリエイティブに行う業務(たとえば手術中に思わぬ所見に出くわしたときに上手く乗り越える能力が必要)とオペレイショナルな業務(発熱患者さんが来院したときにガイドラインやフローチャートに従って診断確定、治療導入まで高い再現性でつなげていく能力が必要)の組み合わせです。しかしながらたとえば「腹痛」と一言でいってもその病態は千差万別。ストレスなのか、感染症なのか、結石なのか、悪性腫瘍なのか、はたまた心筋梗塞などの胸部疾患や帯状疱疹などの皮膚・神経疾患なのか。患者さんは教科書通りの感じでは来院しません。症状は断片的で、時に曖昧で、しばしば標準的な病像と食い違いがあります。その断片をつなぎ合わせ、仮説を立て、検証し、修正しながら進む。このプロセスは、推理小説の探偵に近く、シャーロック・ホームズの例を出すまでもなく、クリエイティブとオペレイショナルのミックス状態です。

となると、医業をあえて一言でいうと、"クリエイティブオペレーション(意訳すると「サイエンスに立脚した創造的判断」でしょうか。完全に院長の造語です)" とでも言えばいいでしょうか。「守りながら攻める」みたいな、なんとなく日本的で実学的な表現でもあります。剣道で「守破離」という言葉があり、これは「"守" で基本の型を徹底的に身につけ、"破" で応用・発展させ、"離" で独自のスタイルを確立する」という考えです。ただし "守" を徹底した先に、破と離があるもの。まずはオペレイショナルな業務で基本形を身につけ、クリエイティブな業務でその応用形を実践していく。こう考えると、

「そんなの他の業種でも同じじゃん」と突っ込まれそうです。そう。結局はどの業種も院長がいうところの "クリエイティブオペレーション" なのだと思います。そしてオペレイショナルとクリエイティブの境界は極めて漸次的で、クリアカットに「ココから」とかいうことはありません。

いずれであっても、「患者さんの健康に益する」という根本原理さえ外さなければよいのではないかと思います。手術を多く手掛けていた勤務医時代から、だいぶオペレイショナルな業務が多い開業医になりましたが、この原理だけは変わっていないと自信をもっています。

ただ、クリエイティブな能力がずば抜けているほんの一部の先生が、医学に新たな知見をもたらしたり(ノーベル医学・生理学賞がそのトップランナーに贈られるワケで)、新規の術式を開発したり、これまでにない医療機器をローンチしたり、ときに作家になって読者をワクワクさせる ものがたり を紡いだりするのでしょう。もちろんそのクリエイティブな仕事は膨大なオペレイショナルの上に成り立っているハズです。

一生に一本でもよいから院長もそんな ものがたり を生み出せればと思い、今でも休日にはモノを書いたりしています。自分のなかのクリエイティビティを少しだけ信じつつ。もし自分の文章が世に出ることになったら 5 日分くらいこのブログをその紹介に使わせていただく予定です。もちろんその予定は未定です。

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