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医者と英会話ー留学しなければ使うは学会発表と、あとはときどきの外国人患者さんの診療くらいですが、これら 2 つの場面それぞれに対する練習が必要です。

[2026.08.14]

昨日のブログで「初めて発表した国際学会では、英語の質疑応答をビギナーズラックで乗り越えることが出来た」というハナシを紹介しました。それが 2009 年。もうだいぶ昔のことです。その後 2010 年、2013 年、2014 年、2015 年、2017 年、2019 年、2021 年とだいたい 2 年に 1 回くらいのペースで欧州もしくは米国の学会で発表する機会をいただきました。「出せば発表できる」日本の学会とは異なり、これらの採択率は 25-45% くらいなのでまあ悪くない数字かと思います。

そのなかで 2010 年の欧州泌尿器科学会。このときのプレゼンで本当に困り果てた状況に陥ったのでそのことを話します。

2010 年は院長が所属する東京医科歯科大学泌尿器科学教室から、確か 20 くらいの演題が採択されていたと記憶しています(国内では最多)。参加者も 10 名以上の大所帯で、皆会場のスペイン、バロセロナでの発表・勉強・他国医師との交流・観光を楽しみにしていたのですが、なんと会期(2010 年 4 月 16-20 日)の 1 ヶ月ほど前から始まったアイスランドの火山噴火が参加者の足に大きな影響を及ぼしました。特に噴火当初から 4 月 14 日くらいまでは火山が「くすぶっている」くらいの感じだったのが、急に「大きな噴火状態」となり、4 月 15・16 日の北回り空路がほぼ完全にキャンセルされてしまったのです。院長は幸い 4 月 15 日に現地入りしていたので参加できましたが、参加予定の教室員半分くらい(教授も確か現地入りできなかった)が涙をのんで国内留守番となりました。

そうなると現地は大変です。火山の影響で米国および北欧から招待されていた講演者の約 3 分の 1 が現地入りできず、1 つのセッションで 10 個くらい演題があるのですが、会場にいるのは 6 名、みたいな状態です。急遽院長は自分の発表に加えて他の先生の発表を 2 つ、かわりに務めることになり、「明日までにこのプレゼン英語全部覚えないと!!」みたいな緊急事態となってしまいました。

通常 3-4 ヶ月かけて準備をする英語のプレゼンをまさかの前日からの突貫工事で暗記。想定質問もいくつか用意しましたが、いかんせん自分がメインで行っている研究内容ではありません。しかも、当時の院長は医師 10 年目の "若手" です。昨年もそうですが、自分が発表するときは必ず上の先生が会場に見に来てくれて「質問で院長が詰まってしまったときには会場から "共同演者の ◯◯ です。その質問はこちらからお答えします" みたいな助け舟を出してくれて乗り切る」みたいな感じを今回のプレゼンでも(ちょっと甘えている心構えですが)期待していました。

ところが現地入りした先生は誰もが「自分のプレゼン以外のひとの分もこなす」こととなっていたのでそんな余裕もありません。当日会場入りして助けてくれる先生も確保できない、となりました。

正直言ってものすごく不安状態で会場入り。ポスターは欠席者のところは貼られておらず、半分くらいポスターが埋まり、参加者が少ないためいつもより相当閑散とした会場でセッションが始まる、という感じでした。

その日は午前中にもともと自分が発表予定のプレゼンをなんとかこなし(このときは火事場の馬鹿力みたいな感じで質疑応答もすべて理解でき、難なく回答できました)、午後の「他の先生のかわりプレゼン」に臨みました。

午前中と同様、会場は閑散としておりましたが、盛り上げようとしたのでしょう、座長が開口一番、「本日は急遽参加できない先生方が多数いらっしゃいますので、発表 3 分、質疑応答 2 分の予定をすべてその倍(発表 6 分、質疑応答 4 分)とします。それでも時間が余るので、最後に総合討論もやってしまいましょう(笑)」と言いました。

「え・・・(冷や汗)」

事前に用意した原稿は 3 分用、それを無理に 6 分に延ばし、なんとかプレゼンは終了したものの・・・。質疑応答がもはや何を言っているのかわからず、最終的には

"I’m not the original presenter. Unfortunately, the scheduled speaker couldn’t make it here because of the volcanic eruption, so I was asked at the last minute to step in. I basically crammed all of this overnight, so please go easy on me." (私は本来のプレゼンターではなく、本人が火山噴火でどうしても会場入りできなかったため昨日急遽内容を一夜漬けで詰め込んだだけなのでお手やらわかにお願いします、みたいなこと)を途中で笑いながら言い、会場が(少し乾いた)笑いに包まれ、なんとか終了。その後の「総合討論」においても、座長もほかの演者も「あいつに訊いてもどうせ答えもられないから無視しておこう」的な空気が流れてコメントを求められることはなく終了(壇上にいるのがいたたまれなかった)、となりました。

おそらく英語がもう少しできれば、本来の演者でなくても内容をもう少しふくらましたり、少し異なる視点での知見を盛り込んだりして少なくとも会場全体に上記のような言い訳がましいコメントをしなくても場を乗り切れることができたのではないかと思うと、この経験のあと数ヶ月間、「国際学会でプレゼン上手くできなかった・・・」思考に苛(さいな)まれました。

ただ、かわりに発表した演題自体はものすごくいい内容だったので、(自分のプレゼンとは関係なく、抄録採択の段階で)ベストポスター賞をいただくことができました。まあ、自分の業績ではありませんが。

そしてこのときからさらに英語、特に学会の英会話フレーズを磨くようになり、現在はある程度自信を持ってプレゼンできるくらいのフレーズはアタマに入っています。開業してから披露する場がなく少し錆びついているかもしれませんが。

明日は診察室における英語について、留学経験のない院長がどのように学習したか、そして現在どのように学び続けているか、について紹介したいと思います。

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