名言とか至言といった類のものは本当にたくさんありますが、それが役立つ・自分にあてはまると思えるかどうかは置かれている状況によります。
院長が高校生くらいの頃からずっとライフハックとか老若男女かかわらず人生を渡っていくのに役立つパワーワードなどを発信し続けている中谷彰宏さんの言葉(らしい)もので、院長が好きなのが
「何かをしたい人、10,000 人。それを始める人、100 人。それを続ける人、1 人。」
があります。この言葉を初めて目にしたときは確か、40 歳の頃だったでしょうか。国立がん研究センター東病院からがん研究会有明病院にうつるくらいのときです。当時は毎日腹腔鏡手術練習用のボックスで鏡視下の持針器を使って必ず 1 日に 500 結紮する」というのを 2 年くらいやり続けていたおかげで、(癌研では当時腹腔鏡技術認定医が自分ひとりだったので)ようやく手術の指導がスムーズにできるようになってきたかな?という実感を得始めていました。この言葉は身に覚えがありすぎて「ああ、わかる…」と、しみじみしたのを覚えています。
ひとは、思う。
ひとは、語る。
ひとは、調べる。
でも、ひとは、なかなか始められない。そして、やってみても、続かない。
「10,000 人、100 人、1 人」の比率は誇張かもしれません。けれど、心理学的にみても「行動のハードル」は想像以上に高いことがわかっています。人間の脳は変化を嫌います。現状維持が好き。生物学的に言えば「ホメオスタシス(恒常性)」という仕組みです。体温だけでなく、生活習慣や思考パターンまで「いつもの状態」に戻そうとする。だから新しいことを始めるのは、実は生物学的には一見 “逆風” ととらえられます。では、どうするか。
有名な言葉にこんなものがあります。
Small steps every day lead to big results.
大きな決意より、小さな一歩を毎日。これは少し考えれば理にかなっているということがわかります。小さくても成功体験を積み上げることで自己肯定感が増し、"自分を信頼できる度合い" が増えていきます(「自分を信頼する口座」の額が増えていくイメージ)。これが次の「もう一回やろう」という気持ちを生みます。意志の力だけで続ける、というよりも「自然とやってしまう」のが習慣づけの素晴らしいところです。
また、以前から知っていたのですが、最近の自分を振り返ってみて改めて腑に落ちた言葉があります。
"Done is better than perfect."
完璧よりも、まずやる。特に院長職になってからこの言葉の重要性が本当によくわかるようになりました。日々多くの患者さんを診療しつつ、人事の業務、院内の整備、物品の請求や業者への支払い、就業規則作成に給与・賞与支払いに学会・医師会関連の業務など、すべてを "完璧" にするなどとてもムリな業務量を日々抱えています。こうなると自然とスタッフに業務を委譲するようになります。最初は自分がやったほうが早い、と思ったことでも、「任せる」ことで相手は成長し、自分には余裕が生まれます。大切なのは日々の業務が滞らず円滑に進むことです。院長の業務としてはやく "Done" する。このブログもそうで、本日も早朝に書いて早速アップしています。
な計画を練り続けるより、まず診察し、検査し、評価し、改善する。PDCAという言葉がありますが、Planだけで止まってしまってはCもAも永遠に来ません。
そしてもうひとつ。
"Action creates clarity."
行動することで、はじめて見えてくるものがある、または行動あるのみ、と訳されます。これは診療にも通じることかもしれません。問診だけで診断が確定することもありますが、患者さんの身体所見をとる、すなわち問診したり触診したりルーペなどを用いて視診することなど、五感を使うことで病像の輪郭が浮かび上がったり、アタマのなかで考えていた鑑別診断の確度が上がることがしばしばあります。考えているだけでなく、実際に動くことで視界が開けてくるというのは往々にしてあることだと思います。
これは
"Motivation follows action." にも通じます。A follow B. は 「A は B のあとにつく(よく follow はどちらが前でどちらが後ろかわからなくなるときありませんか?)」なので、「行動があってはじめてヤル気がでる」。よく「楽しいから笑う」と言いますが、実際はそうでもなく「いつも笑っているひとほどそのひとのまわりに楽しいことが多くなる」ことのほうが多いと思います。心理学の研究では、「やる気が出たらやる」と考えている人ほど実行率が低く、「走り出すからエンジンが温まる」のだと思います。禁煙も、運動も、読書も、すべてそう。まずは今日。できれば今週。引き続き今月。気がつけば今年・・・を重ねるうちに「続けている自分」ができあがり、さらにやる気が出てくるのだと思います。
10,000 人のうちの 1 人になる秘訣は、才能でも根性でもなく、「やめない仕組み」を作ることかもしれません。時間を決める。仲間を作る。記録する。小さく始める。医療で言えば、生活習慣病の改善も似たような構造です。クリニックは、患者さんにとっては「行動の起点」になる場所のひとつ。できれば当院としては生活習慣を改善したい、と思っている 10,000 人のうち 100 人ではなくせめて 1,000 人くらいの「始めるお手伝い」、1 人ではなく 100 人くらいの「続けるお手伝い」をさせていただきたいと願って日々診療しております。
そのために院長も毎日起きる時刻・筋トレ・体操などをする時刻をキッチリ決めております。是非一緒に「気づいたら続けていてアタリマエになっていた」となれるようにしていきたいですね。
