国内では世代にしても地域にしてもいがみ合っては何も生まれないと思うので、とにかく建設的に議論していきたいですね。
なんだか衆議院議員総選挙、すごい結果になりましたね。高市総理(+第一野党の自滅)のおかげで自民党一強に。今後医療行政がどうなっていくのか、注目したいと思います。
この圧勝。背景を考えてみると高市総理が「特別なことを言ったから」ではなく、「当たり前のことを、当たり前の言葉で言ったから」だったように思います。総理の語り口は、決して奇をてらわず、専門用語に逃げず、結論を先に置く。それは政治的な“ 巧みさ” というより、むしろ診察室で患者さんに説明するときの作法に近いように感じました。わかりやすい。
開業医として日々感じるのは、「正しい説明」と「伝わる説明」は別物だという現実です。医学的に正確でも、回りくどければ不安は残る。多少単純化しても、全体像と方向性が一度で理解できれば、人は納得し、行動を選べる。今回の選挙で有権者が感じた安心感は、この“わかりやすさ”にあったのではないでしょうか。これまでの政治は、複雑さをそのまま複雑な言葉で語りがちでした。結果として「結局、何をするのか分からない」という慢性的な説明不足が続いてきた。その空白を、高市総理は大仰な改革論ではなく、素朴な言葉で埋めた。医療でも政治でも、人は「完璧な未来予測」より、「今どこに向かっているか」を知りたい。今回の結果は、その原則を社会全体が再確認した出来事だったように思います。・・・なんてな政治的なハナシで書き始めてしまったのでもう少し真面目な話題を続けます。
昨日は国民医療費がもうすぐ 50 兆円(現在 48 兆円)に迫る、みたいなハナシをいたしました。こういった話題でときどき出るのが "医療費の西高東低" です。これはどういうことかというと、都道府県ごとに一人当たり医療費を算出すると、西日本で高い傾向がある(1 位 高値 2 位 鹿児島 3 位 徳島 4 位 長崎 5 位 福岡、、、で 45 位 秋田 46 位 埼玉 47 位 千葉)ということ。ただ、このデータだけをみると東日本より西日本は医療費を多く使っている、みたいに見えてしまいますが、これは患者さんがどうこうよりも、都道府県による人口・社会構造の特徴から出てくる特徴といったほうがよいかもしれません。
まず最大の要因は高齢化。高知・鹿児島・徳島・長崎などの大都市から少し離れた地域はいずれも高齢化率が全国トップクラス。医療費は「年齢にほぼ比例して上がる」のがアタリマエで、75 歳を超えると一気に跳ね上がります。これは高齢化とともに動くパラメータなので、避けられるものではありません。一方、埼玉・千葉は全国的にみると「若い県」。東京のベッドダウンとして生産年齢人口が多く、子育て世帯も大変多い。相対的に医療のヘビーユーザーは少ない傾向となります。この一点だけでも、医療費には大きな差が出ます。
次に重要なのが、医療へのアクセスのしやすさと利用のされ方。地方では、
・通院手段が限られる
・一度受診したら「まとめて」検査・処方する
・軽症でも入院期間が長くなりがち
・通院に時間がかかるので日帰り入院や一泊入院が避けられる傾向があり入院費がさむ
という傾向があり、結果として一人当たり医療費が高くなりやすい。
逆に埼玉・千葉のような都市近郊では、
・通院のハードルが低い
・外来で細かくフォローし、入院を避ける
・在宅医療・訪問看護が機能しやすい
・軽症でも入院期間が長くなりがち
といった特徴があり、「外来一回あたりの医療費」「入院にともなう費用」「が抑えられます。
もうひとつ見逃せないのが、産業構造と生活習慣です。地方では都市部に比べて一次産業比率が高く、
・労働負荷が重い傾向あり
・これが高血圧、脳血管疾患などにつながる
・さらに腰痛など慢性疾患の重症化につながる
という構図ができやすくなっています。これは「医療の使い方が悪い」というより、"地方のほうが病気になりやすい環境で暮らしている可能性がある" という話かもしれません。
こういった話題を出したのは、世代間のハナシもそうですが、日本人同士の "対立" はなにも生み出さないのでなるべく避けたほうがよい、と思うからです。よく「現役世代 vs 高齢世代」みたいな構図をつくって論を組み立てるひとがいますが、どの世代もそれぞれ皆懸命に生きているわけです。同じ国民のなかで争っても詮無いこと。『ドラゴンボール』でもヤムチャ、天津飯、ピッコロ、ベジータたち主要なキャラはみーんな最初はライバルでした。でも仲間になってくれればこんなに力強いメンバーはいません(ヤムチャはちょっと微妙ですが・・・)。医療にしても他の話題、例えば年金にしても、せめて日本国内では公平感が保たれるように世代の垣根をこえてお互いがウィンウィンの関係になれるような道を模索していきたいですね。これは医療における患者ー医療者間も同じだと思います。
とりあえず政府がこれから始める政策に注視してまいりましょう。
