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少し前ですがいつもお世話になっている東海大学病院との連携の会に出席してまいりました。

[2025.09.01]

2022 年 12 月 31 日付のデータによると、日本に医師は 34 万 3275 人。これは人口 10 万人あたり 262 人の医師がいる計算になります。秦野市人口は 2025 年 8 月 1 日付で 160,019 人ですので、単純計算すると 329 人の医師がいる計算になります。だがしかし、市内にいるとそんなに医師が多くいる印象は全くありません。市町村別のデータは見つけられなかったのですが、都道府県別でみてみると神奈川県は人口 10 万人あたり 223 人で全国 40 位と、"医師不足県" のひとつ。さらに勤務先としては横浜・川崎などの県東部ならびに相模原などの県央、鎌倉藤沢などの湘南地区が多く、神奈川県西部(平塚〜西の小田原を中心とした地域。当院はここに含まれる)は相対的にみて "首都圏内における医療過疎地" と言ってよい状況かもしれません。

そんななか、伊勢原市にある東海大学医学部付属病院は、当院を含め、県西部の医療を支えており、数多くの高度医療を担ってくれています(先日数えてみたら開院してから 2 年 4 ヶ月で紹介した患者さんがちょうど 100 名を超えました。これは紹介先からさらに東海大に紹介されたケースを含みます)。7 月下旬にそんな東海大学が主催してくださった「医療連携の会」に出席させていただきました。

現在、いわゆる "病院" にかかるには紹介状(正確には診療情報提供書と呼ばれます)が必要です(ないと 7000-8000 円くらい自費で取られる)。そのため二次医療機関(近隣の病院)、さらには三次医療機関(大学病院やがんセンターなど)にかかる場合の窓口として、われわれ開業医の存在意義があります。しかしながら、そのように "診療所⇒病院" の流れのみですと、自然と病院の負荷が増加し、病院が疲弊してしまいます。そのため一定の治療や検査が終了し、安定している患者さんについては "病院⇒診療所" の連携が欠かせません。

そのために当院は下記のようなことをいつも心がけています。

  • 診療情報提供書の充実
    単なる検査データの羅列ではなく、症状の経過、既往歴、治療反応性、生活背景などをまとめることで大学病院側が診療をスムーズに開始できますので、常に電子カルテには患者さんのサマリーを併記するようにしています。

  • "紹介したら終わり” をしない
    紹介させていただいた患者さんについてはその転帰(どのような経過を辿ったか)を必ずチェックしています。そのため病院からの返書・検査結果・治療方針を必ずフィードバックしていただくようお願いし、また当院でフォローさせていただくように努めています。

  • 可能な限りコミュニケーションを密にする
    病院は高度で専門的な診療、クリニックは慢性期フォローや生活習慣改善指導といったように、「どこまでを病院で担い、どこからをクリニックが引き継ぐか」を患者さんごとにしておく必要があります。そのためには "顔の見える関係" になっていることが大切なので、今回のような医療連携の会など、病院の先生方との交流を積極的に行うようにしています。

  • 医療資源を積極的に利用させていただく
    たとえば CT や MRI など、クリニックでは購入できないような高額な医療機器については、現在近隣の病院で「検査のみを行ってくれる体制」を用意してくれています。これはわれわれのような開業医にとっては非常に助かることで、「おそらくこの肺炎はこのまま外来ベースでウチで診られると思うからわざわざ病院に紹介するほどではないと思う。でも治療途中で(レントゲンで肺炎の病状を評価するのはかなり難しいので)CT を見ておこう」、というときなどに本当にありがたいです。これにより「CT を含めて病院で診断も治療もお願いします」という紹介がだいぶ減りました。

こういったことで「病診連携」が円滑に行くように今後も努めてまいります。

クリニックに求められるのは「患者さんの生活に最も近い立場から、高次医療機関との架け橋になること」。情報の質を高める → 双方向性を確保する → 患者さんの安心につなげる → 地域全体のバランスを意識して行動する、これらを意識することで医師過疎地の県西部における連携がうまく機能していくものと信じて日々診療しています。

東海大学をはじめ近隣の先生方、今後ともどうかよろしくお願いします。

写真は当日のパンフレット表紙です。

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