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技術の習得に近道なし

[2024.05.20]

10,000(一万)時間の法則、というのを聞いたことがあるでしょうか。

ある分野で技術を磨き、経験を積んで一流と呼ばれる域に達するまでの時間とされます。英会話にしても株取引にしても、手っ取り早くスキルを身につける方法、とかこれだけ分かれば!みたいな宣伝文句がネット等には溢れていますが、たいていはうまくいきません。価値が高いとされる技術を習得するうえで大事なことは「ある程度まとまった時間、そのことに触れて慣れる」ことだと思うのです。

院長は外来診療や手術については懸命に技術を磨いてきた自負があります。ではどのくらい時間をかけたのか、ざっくり計算してみましょう。

外来: (医師 2〜11 年目までは週 1 日= 7 時間 ⇒ 7 x 50 週 x 10 年 = 3500 時間) +(11〜20 年目までは週 2 日 = 7 x 2 x 50 x 10 = 7000 時間)で 10,500 時間

手術: 週 2 日は手術に入っていたので = 7 時間 x 2 x 50 週 x 15 = 10,500 時間

となり、外来は医師 20 年、手術は 15 年で一流(と自分で言うのもおこがましいですが)の域に入ることができたのかもしれません。

ただし医療は人体や精神など、個人差だらけでまだまだ解明されていない部分を対象とする行為です。どんなに一流と言われる先生でも不断の学習が必要不可欠。

「一生学ぶつもりがないなら医学部をすぐに辞めてください」。これは院長が医学部 3 年生のときにいつもはやさしい臨床遺伝学の井川洋二先生が、学生との飲み会で自分におっしゃった言葉です。ワインに詳しい先生で、ワイングラスを傾けながら伝えてくれたことを今でも覚えています。

開業医として一流になるのに 10,000 時間かかるとすれば、週の診療時間が 39 時間くらい、1 年 50 週のうち祭日などを考慮して 46 週として 39 x 46 = 1794 時間/年、10,000 時間に達するには 5.57 年。 2023 年 4 月に開業したので 2028 年 10 月頃にその時間を超えることになります。

世の中、 もうすぐ 50 歳ともなれば職場で責任を取る役割ばかりでなかなか新しいことに挑戦できないひとも多いでしょう。医師というのは一生勉強ですので、まだまだ自分の知らない領域を開拓できるチャンスがあるこの職業に感謝し、一流とか二流とかそういう単純なことではなく、「患者さんから信頼される開業医」を目指してまいります。

ちなみに高校の勉強時間は今振り返るとちょうど 10,000 時間くらいかなぁ(1 日学校含めて 10 時間勉強していたとすると 10 x 365 が 3 年あるので 10,000 時間超える)という感じなので、この法則はあながちあてずっぽうな数字ではないという感覚をもっています。

医師になってはじめてのボスである 木原和徳 先生(東京医科歯科大学名誉教授)より開業祝として頂いた時計です。日々まさに寸分の狂いもなく時を刻んでくれています。診察室で常に院長の眼の前で開業後 10,000 時間、さらにそれよりも長い時間を見守ってくれることになるでしょう。

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