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新しい医療分野のつくりかた(のうちのひとつ)

[2024.08.30]

最近の大学学部は一回聞いても専攻を聞き直してしまうような名称が多くなりました。

環境情報学部、総合政策学部、システム工学部、国際情報学部、データサイエンス学部など。それぞれを昔の名称に無理やり当てはめると理学部・政治経済学部・工学部・文学部・理工学部などでしょうか。これら新しい学部は「環境」と「情報」、「データ」と「サイエンス」を合併したような名前となっており、この「組み合わせる」という手法は新しいものを創り出すひとつの有効な手段だと思います。

医学でも「日本腫瘍循環器学会」という一般社団法人があります(下写真)。かつて循環器、すなわち心臓を診る先生(循環器内科・心臓外科)は腫瘍、すなわちがんを診ることはありませんでした。これは「心臓がん」「血管がん」という病気がないためで、循環器系と腫瘍が組み合わさるというのはかつての考え方からすると一風かわった奇異な感じに響くかもしれません。

しかしながら、がん診療の進歩や寿命の延伸によりがん患者さんの中で、主に治療を受ける患者さんのなかに「循環器疾患」すなわち心臓や血管に病気をもっている方々が多くみられるようになりました。日本腫瘍循環器学会は写真のようなミッションを掲げており、がん専門医であるわれわれにとって心強い味方です。このような異分野の融合により、新たな価値が生まれていくことはしばしばあることだと思います。

ちなみに院長の出身校である東京医科歯科大学が東京工業大学と合併して 10 月 1 日より "東京科学大学" に生まれ変わります。この合併も上記のような新しい分野を開拓するための布石だと思います。東京医科歯科大学という名前が無くなり、今後「医科歯科卒です」とか言っても「え?どこそれ?」みたいなことになるのが寂しい気もしますが、新たな視点により(昨日ブログのように)患者さんを多角的に見るようになることで次世代の革新が創出されていくことを期待し、母校・"東京科学大学" を応援したいと思います。

 

 

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