日々患者さんにこの数値を下げるためにいろいろ言っているのですが自分もひとのことを言えなくなってきたので運動をもう少し増やそうと思います。
むかし、院長が子どもの頃(1980 年代)、80 歳以上の方は「長生きですね!」という感じでした。しかし最近は徐々に長寿化が進み、いつの間にか院長の母親も 80 の坂を越えましたが「子供の頃いだいていた 80 歳のイメージ」とは異なり活発に毎日柴犬の散歩に行き、友人たちと大学祭にいくなどアクティブな日々を送っています。もともと母親は酒もやらずタバコもやらず、楽器を若い頃から習い続け(もう 40 年以上エレクトーンやっているのではないか)、iPad など新しいものを比較的早く取り入れるなど、「ルーティン化」「新規への挑戦」「継続はチカラ」 という、科学的にもその効用が認められた "長寿のコツ" を自然と続けているのがよいのかもしれません。
母親の母、ようするにおばあちゃんも 90 歳を超える長生きでした。しかも認知能力の低下はほとんどなく、アタマは最後まで瑞々しかった記憶があります。おばあちゃんも手作業(編み物や人形作り)をし、何歳になっても社会とつながり(よく信用金庫の方と家でおカネの話をしていたと記憶しています)、知識をアップデート(図書館などで本を借りてきていつも読んでいました)していたのがよかったのかもしれません。
ところで英語で "octogenarian" とはどういう意味でしょう。答えは「80 代の方」です。2005 年頃は泌尿器科の国際学会にいくと "Treatment results of radical cystectomy for locally-advanced bladder cancer in octogenarian population(80 代における局所進行膀胱癌に対する膀胱全摘の治療成績)" のような「80 代という超高齢に大きな手術をしたら成績はこうでした!」みたいなテーマでも演題になっていましたが、最近の臨床で 80 代にいわゆる "おおきな手術" をすることはもはや特別なことではなくなっています(実際、膀胱全摘は 5-7 時間くらいかかる手術なのですが院長も勤務医時代に最高齢として「もうすぐ 90 歳」という方に対して施行したことがあります。ほかの患者さんと同様クリニカルパス通り退院されました)。今後は "nonagenarian(90 代)", "centenarian (100 歳以上)" に対する治療成績、というところまでいくのでしょうか。その頃はもう手術のような負担のかかる治療はなるべく避ける方向に医療が進んでいる気がしないでもないですが。
さて、 日本にかぎっていえば、国全体での高齢化はとどまることなく、現在 100 歳以上の方がもうすぐ 10 万人を超えると言われております。このとき問題になるのは「健康寿命 << 実際の寿命(健康寿命が実際の寿命よりだいぶ短い)」ということ。現在このギャップは女性で 11 年、男性で 8.5 年といわれており、「毎年健康寿命は延伸しているが、平均寿命も同様の動きを示しているためその差は変わっていない」というデータもあります。
では健康寿命に重要な要素は何でしょう。骨密度筋力の維持、脳梗塞などの血管系疾患の予防や社会的孤立からの回避など、いろいろとありますが、そのなかのひとつの大きな要因として「認知症を予防すること」があります。というのは、格式あるジャーナル『The Lancet Public Health』の 2021 年に発表された、日本人の年齢調整死亡率についてのデータをみてみると、1 位は がん でも心疾患でもなく、アルツハイマー型をはじめとする認知症でした。このデータをみるかぎり、日本人の "本当の死因" は認知症なのかもしれません(Global Burden of Diseases, Injuries and Risk Factors Study と呼ばれる世界的な統計では「老衰」という病名はないので厚生労働省の発表だけ見ているとこういったことがわかりません)。医療従事者でない方からは「認知症が病気?」と言われてしまいそうですが、これまでの研究によると「年齢」「遺伝」「性別」という、避けがたい 3 つの要因ですでに認知症発症の半分以上は決まってしまう(いくら発症を予防しても難しい)、と言えます。
こうなると残りの半分をなんとかして認知症を予防し、健康寿命をのばしたい! となるわけですが、その "なんとかできる部分" における最大の要因がコレステロール、という論文が、これも『Lancet』から出ています(2024 年)。本日はこのコレステロールを下げる薬の創出を可能にした偉大な学者、東北大学の 遠藤 章 先生について紹介しようと思ったのですが、前置きが長くなりすぎてしまったのでこれについてはまた明日。健康診断で "LDL が高いですよ" と言われた方、ご注意ください。
写真は最近とった院長の血液データ。2021 年に 105 だった LDL が 132 に(要注意)!
