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最近の医学生についてのハナシを聞いて医療の未来は明るいと楽観しました。

[2026.02.17]

院長は 1995 年に医学部に入学しました。そんな院長が大学時代、特に専門(当時は 2 年の 12 月までは医学ではなく物理とか化学とか、高校の焼き直しみたいな講義を受けさせられて結構苦痛だったのを覚えています)、すなわち医学の勉強が始まっても「講義は全体の 50% くらい、とにかく実習はちゃんと出る」、というスタイルであれば無事卒業できたのが母校・東京医科歯科大学の "当時" の感じでした(今はきちんと講義にも出席しないとダメみたいです)。ちなみに医学部には選択科目という概念は存在せず、すべて必修でした。にもかかわらずこの程度の出席率。これは自分だけナマケモノだったわけではなく、少なくとも自分のまわりは皆たいていこのくらいだったと記憶しています(一部、本当にすべての講義に出席している学生ももちろんいて、卒業式の日に贈呈される学年成績優秀者を表彰する時計はそういった学生が受け取っていました)。出席率は決して褒められることではないのですが、その分部活やバイト、映画館入り浸りなど、学生らしいといえば学生らしいことに時間を使うことができました。

最近、母校で教鞭をとっておられる准教授の先生と、最近の東京医科歯科大学あらため東京科学大学の医学生について話す機会があったのですが、われわれの頃と違って真面目に講義に出て勉強し、講義後の質問も活発で教える方も相当気合が必要なようです。素晴らしいですね。医師になって臨床に進んだ後にこそ、「あぁ、解剖をもっと勉強しておけば」とか「あのとき生化学をもっと勉強していたら今もっと役立つのに!」みたいなことを実感するわけです。ですから現在の医学生の皆さんに言いたいのは「正しい!勉強はできるうちにしっかりしておいてください!」、とまるで森高千里さんのむかしの歌の詞みたいなことです。ではなぜ、ここまで変わったのでしょうか。

一つには、医学教育そのものの変化があります。共用試験(CBT や OSCE とよばれる医学部全国共通のテスト)の導入、国家試験の出題傾向の変化(より臨床的な問題が増えてきちんと実習を受けていないと答えられない問題増)、エビデンスに基づく医療(検査や治療方針について、明確な根拠をあわせて頭に入れる必要がある)の浸透。医学は「知っている」だけでは足りず、「説明できる」「応用できる」「カラダが動く」ことが求められる時代になりました。情報量も医学の進歩とともない、院長が学生時代だった 30 年前とはケタ違いに増えています。90 年代には存在しなかったオンライン教材、動画講義、AI を使った学習支援ツール。知識の取得効率は飛躍的に高まりましたが、その分、基礎理解の深さが問われるようになっています。

さらに、社会の目も厳しくなりました。医療安全への意識は高まり、インフォームド・コンセントは当然の前提です。医療は「先生に任せる」から「説明を受け、納得して選ぶ」へと変わりました。その変化を肌で感じている若い世代は、最初から「説明責任」を意識して学んでいるように見えます。

現在当院では地域医療実習として若い研修医の先生を年に数名受け入れているのですが、驚くのはその質問の質です。「なぜこの薬を第一選択に?」とか「このガイドラインの推奨度はどんなエビデンスから来ているのですか?」。単に暗記しているのではなく、構造を理解しようとしている。これは医療の未来にとって心強い姿といえましょう。

まあ、真面目さやテストの厳しさには副作用もあり、ときに学生間での過度な競争・燃え尽き・自己否定などが起こり得ます。医学部は昔も厳しいと言われいましたが、今は SNS など情報が瞬時に伝わるシステムの影響もあり、厳しさが増しているように感じます。だからこそ、私たちの世代ができることは、単に「最近の若者はすごい」と称賛するだけでなく、「少し肩の力を抜いていきましょうか」と伝えることかもしれません。

若い世代は情報にアクセスする能力を持ち、批判的思考を身につけ、チーム医療を当然の前提として育っています。ヒエラルキーは薄まり、多職種との対話も自然です。これは医療の質を底上げする大きな要素です。そう考えると、未来は少しだけ明るく見えてきます。医学は、科学でありながら、人間の営みです。どれほど AI が発達しようと、最終的に患者さんの前に立つのは人間です。若い医学生たちが、知識だけでなく問いを持ち続ける姿勢を持っていること。それ自体が、医療の未来にとって最大の希望だと信じて彼らに負けないように自分も学び続けてまいりたいと思います。

そんな思いにさせてくれた東京科学大学総合診療医学分野・総合診療科の 山田 徹 先生との御縁に心から感謝します。

(写真掲載について山田先生から許諾を得ております)

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