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泌尿器科専門医制度を国際比較してみましたーまずは日本のシステムからー。

[2026.08.10]

昨日は専門医や認定医について考えてみました。"メリットが少ないようにみえる" 日本の専門医。欧米ではどんな感じでしょうか。知り合いの欧州・米国の泌尿器科医にメールで聞いてみました。あくまでもその先生の意見ですが、紹介したいと思います。彼らの専門医は仕事の保証と医師としての質の保証、という意味で日本より強いもののように感じました。

まずは全体像ですが、

  🇯🇵 日本 🇺🇸 米国 🇪🇺 欧州
基本的な認定主体 日本専門医機構(+日本泌尿器科学会) The American Board of Urology(ABU) 各国の国家・公的機関+European Board of Urology (EBU)
専門研修 4 年 5 年 (少なくとも)5 年
初期研修等を含めた目安 卒後 6 年 卒後 5~6 年以上 国により異なる
症例・手術経験 要件あり(ゆるい) 要件あり(とても厳しい) 要件あり(厳しい)
筆記試験 あり あり あり
口頭試験 あり あり あり
独立診療後の評価 原則なし あり 国により異なる(スペイン、ドイツはあると)
更新 5 年 毎年継続的な医療学習(CME)を取得する必要あり 5 年
資格が診療免許そのものか いいえ いいえ 国の専門医資格はかなり公的性格が強い
資格を失った実務上の影響 比較的小さい 大きい 国により大きい(スペイン、ドイツは大きい)
制度の性格 質保証・自己研鑽 質保証・社会における信頼の証明として非常に大きい 職業資格・質保証

という感じです。具体的にみていきましょう。

まずは日本。現在の泌尿器科専門研修は医師免許取得後に

「初期臨床研修 2 年 → 泌尿器科専門研修 4 年 → 専門医試験」という構造で取得できるようになっています。院長が医師になった頃は日本泌尿器科学会が専門医を認定していましたが、2018 年から「日本専門医機構」による専門研修制度に移行しました(この機構がなにをやっているのか正直よくわかりません。「天下り施設」のようにみえるのでこういう組織を濫造するのはあまりよくないのでは、と感じることがしばしばあります)。

4 年間の研修中は、単に「4 年間泌尿器科診療をしました」ではダメで、

たとえば 2026 年度基準では、

  • 一般的手術:術者として 4 領域で所定数を経験し、合計 50 例以上
  • 専門的手術:術者または助手として複数領域を経験し、合計 30 例以上
  • 学会参加
  • 泌尿器科領域講習
  • 医療安全・感染対策・医療倫理等の共通講習
  • 学術活動

などが要求されています。そして日本の泌尿器科専門医試験はしっかりしていて、2026 年現在

「筆答試験+口答試験」

です(今年は来月、9/12 に開かれます)。筆答試験は 100 題過去問の例題などがネットにあったので見てみましたが、実臨床に沿っていて、なかなかの良問だと思いました。口答試験は画像を用いた規定問題などを約 20 分で行います。院長が受けた頃を思い出してみると 5 分くらいしかやらなかった記憶がありますが、最近はじっくり長く行われるようです。前立腺癌、膀胱癌、腎癌、感染症、結石、排尿障害など、実臨床での判断能力が評価されます。

更新制度についてですが、泌尿器科専門医は 5 年ごとの更新が必要です。そして 2026 年度、これは院長がこの年更新だったので受けたのですが、更新者全員に

「専門医更新テスト」

が導入されました(といってもオンライン受験で何回でも回答可能なので、まず落ちることはない、という内容であったと記憶しています)。さらに診療実績、共通講習、泌尿器科領域講習、学術活動などを合わせて原則 50 単位が要求されます。院長も利用しましたが、現在一部認められている診療実績証明の免除は 2029 年度以降は廃止されて知識のアップデートなどについての規定が厳格化することが決まっています。

ですので、かつての専門医は「1 回認定されれば更新なく継続的に名乗れる資格」であったのが、

「現在専門医として活動し、知識を更新しているひとが持てる資格」

に変わってきています。今後は「より厳しく、この資格を持っていることがステータス」になるような、"目指し甲斐のある資格" になるほうがベターではないかと感じます。あと、少し分類して「ただの専門医」に加えて「小児」「内視鏡・ロボット手術」「排尿障害」など、"2 階建て" "3 階建て" のシステム(ただしこういったものを取れば取るほど年会費がかかる、というようにはしない)にする、などの方向性に進んでいくことを勝手に期待しております。

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