メニュー

現在公費での風しん抗体検査が可能です

[2023.08.13]

新型コロナウイルスが感染症法上の 5 類となって初めての夏ですね。

街中を見渡してもマスクを着用している方がだいぶ少なくなりました。

コロナと同じように飛沫感染を主に広がっていくウイルスで、先進国のなかで日本のワクチン接種が十分進んでいない疾患をご存知でしょうか。

風しんです。麻しん(はしか)よりも短い期間で症状がおさまるので「三日はしか」とも呼ばれます(症状は 1 週間程度続くことが多いので、3 日で治癒するわけではないのですが)。

感染して 2-3 週間程度の潜伏期間を経て発症しますが、問題なのは発症の 1 週間前くらいから飛沫内にウイルスを排出することで、感染の自覚がない患者さんが周囲にウイルスを広げてしまうリスクがあることです。

3 徴候として発熱、発疹、リンパ節腫脹がありますが、多くが発熱で来院され、症状や 2-3 週前前後の行動などを確認し、採血で抗体価などをチェックして診断を行います。

患者さん本人の治療は比較的シンプルで、原則として対症療法、すなわち風邪をひいたときの対応となります。発症から少なくとも 1 週間程度は出勤停止を指示します。

問題は妊婦が特に妊娠初期に風しんウイルスにさらされた場合で、新生児に先天性風しん症候群と呼ばれる、心臓・眼・難聴を特徴とする疾患にかかってしまうことがあります。

世界保健機関(WHO)が日本に問題点として指摘しているのが、風しん抗体価が低いひとが多いことです。これは行政上の問題点で、特に 1962 年 4 月 2 日〜1979 年 4 月 1 日生まれの男性は、風しんの予防接種が小児期になされていないことが大きく影響しています(実は自分も 1977 年生まれなのでこのグループにあたります。医療従事者ですので病院の就職時などにこれまで 3 回ほど測定していますがいずれも十分な抗体価がありました)。2023 年 8 月現在 43〜61 歳にあたる男性です。この世代は配偶者が妊娠する年代でもありますし、ひとによっては初孫ができることもある年代でもあります。ということは妊婦の方と濃厚に接触する可能性がある年代と思われます。

この年代にあてはまる方、是非風しんの抗体検査を受けてください(公費です)。行うのは採血だけですし、抗体価が低ければ当院ではすぐにワクチン接種が可能です(結果は 1-2 週間でお伝えできます)。

大切な新しい命を守るためにとても大切なことです。

(下図は風しん予防接種が十分普及している地域が紫色になっている世界地図です。日本がまだ白いことがわかると思います Survadevara M, Vaccines 2020 より)

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME