メニュー

異臭は最も原始的な感覚が教えてくれる危険信号ですので感じたらすぐに警戒しましょう。

[2025.05.21]

われわれの生活を支える石油ですが、今月、それに関連する事故がありました。

NHK の報道によると、「5 月 17 日午前、大阪 堺市の沿岸部にある ENEOS の石油精製工場で、石油を精製する過程で出る有毒な硫化水素のガスが漏れる事故があり、ガスを吸った従業員の男性 3 人が搬送されました。警察によりますと、このうち 1 人が死亡、1 人が意識不明の状態だということです」(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250517/k10014808491000.html)。

原因は石油を精製する過程で発生する有毒なガスである "硫化水素" が配管のつなぎ目から漏れ出ていたということです。搬送された 3 人は配管の点検作業中にガスを吸ってしまったということです。

「硫化水素(りゅうかすいそ)ガス」。これは温泉地でも発生する無色の腐卵臭(この言葉自体が硫化水素を表すために生まれた言葉と考えられている)で、今回のように死亡事故につながる有毒な気体です。空気より重いため床の近くにたまりやすいため、貯留してしまうとちょっと怖い物質です。

低い濃度なら鼻がツンと刺激されるくらいですが、高くなると頭痛や吐き気、呼吸が苦しくなったり、今回のように時には命に関わります。ただ、低濃度であれば温泉特有のあの香りは特に健康上の問題になることはなく、好きな方も多いと思います。

ただ、温泉から湯気と一緒に硫化水素がふわっと出てきて、閉まった部屋や狭い空間にこもってしまうと、ガスが溜まって危険になります。特に露天風呂の近くや蒸気浴の場所などでは、注意が必要です。

今回のガス漏れ事故は、換気が十分でない場所でガスがたまってしまい、作業員の方が中毒で亡くなる、というものでした。これは温泉に限らずですが、閉鎖的な空間でガスが充満しないようにすること、そして異臭や体調の変化にすぐ気づくことが大事です。嗅覚は最も原始的な感覚ですが、しばらくすると「慣れて」しまうので、おかしなニオイを感じたらなるべく早く「うん?」と思うことが重要です。

この硫化水素とミステリを結びつけた作品が、いったいどれだけベストセラーを書くんだこのひとは、の 東野圭吾『ラプラスの魔女』です。そのなかの重要人物としてある医師が出てきます。大学脳神経外科教授の 羽原 全太朗(うはら ぜんたろう)。彼は脳神経細胞再生研究の第一人者として登場し、「画期的な手術」を行います。以前にもブログで書いたことがありますが、医師は医療に関する小説を読むときにどうしてもリアルな現場を知っているので「アラ探し」をしてしまうもので、この作品中でもどうしても突っ込みたくなるところが多々あったのですが、エンターテインメント小説としてはいつもどおりの面白い作品に仕上がっています。

こんなふうにいくつもの物語を紡ぐことができるというのはいつもながらにスゴイことだなぁと思う、夏を感じる 5 月でした。

 

HOME

最新の記事

Google レビューが最近 ★ 4.0 の大台に乗りました(でも普通にそれを操作する業者とかいるらしので今後すぐまたどうなるかわかりませんが)。
名作古典の冒頭文に出てくる神様をクリニックすぐそばの何気ない細道で見つけて歴史を感じる。
自分に合う医者選びは "百聞(Google レビュー熟読)は一見(診察室に入る)に如かず"、だと思います。
大正から昭和の大女優のエッセイを読みながら院長・師長として二人三脚で歩む夫婦生活を改めて考える。
医療はサービス業のようでそうでもない産業なので "適切な価格設定" は本当に難しいのですがそろそろそういった議論も必要かと。
これまで医療者は「出会いがなかなかない・・・」とこぼすひとが多かったのですが最近はいろいろなツールがあるようです。
もうすぐ大学入学共通テストに医師国家試験と受験シーズン突入ですね。
医療者は "ドレイン" にあまり悪いイメージはないのですが、現代社会でこのコトバがネガティブに使われていたので紹介します。
「医療はヒト相手だからヒトが見て、話して、確認しましょう!」とか言っても "To err is human(ひとは誰もが間違える)" なので "より良いシステムづくり" のほうが結局はミスの軽減につながるはずです。
救急車は病院外からの搬送はもちろん、病院間搬送も行われる極めて重要なインフラですので、適切な 119 番の活用を心がけましょう。

ブログカレンダー

2026年1月
« 12月    
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME