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粉砕して玉砕しないために

[2024.07.06]

昨日おくすりがわれわれのもとに届くまで非常に多くのステップを経る、というお話をしました。

そのおくすりのなかには「徐放性製剤」というタイプがあります。これは製剤からの有効成分放出をわざと遅くするように作られた薬です。こうするとゆっくり有効成分が体内に放出されますのでじっくり長い時間体内で効いてくれます。こうすることで服用回数を減らすことができ、血中の有効成分濃度を一定に、なおかつ長時間保てますので副作用も回避できます。薬を飲みやすくする素晴らしい工夫です。

しかしながら医療機関・介護施設などで「通常の錠剤を(嚥下障害などで)飲めない方」がしばしばいらっしゃいます。この際、われわれがときに行うのが薬の「粉砕」で、これにより粉状にした薬を内服できる場合があります。

では上記のような「徐放性製剤」を粉砕してしまうとどうなるでしょう。徐放性製剤は「ゆっくり有効成分が放出されるよう」に工夫されていますので、粉砕してしまうと「一気に薬効が強く表れてしまう」ということになり、降圧剤では急激な血圧低下が起こったり、痛み止めでは突然の呼吸抑制が起こったりします。

昨年の 3 月に日本国内の薬・医療機器の承認などを一手に引き受けている組織、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)より写真のような注意喚起レポートが発出されました。

その中にはわれわれ泌尿器科医が頻繁に処方する薬が 3 つも含まれていました(写真赤囲い)。使い慣れている薬であっても、通常とことなる内服方法をとるときはしっかりと薬剤師の方々と連携して情報交換することが重要です。

「薬とお札は勝手にいじらない」!薬はカプセルを開けて中身を取り出して内服すると上記のような事が起こるかもしれません。お札(一昨日新紙幣が登場しましたね)を加工すると通貨偽造罪として必ず懲役刑になりますので遊びでもコピーしない(← 子供の頃、愚かにも職員室でやろうとして中学の先生に鼓膜が破れそうになるほど怒られたことがあります)。肝に銘じておいてください。

写真は https://www.pmda.go.jp/files/000251752.pdf を院長が改変しています。

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