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糖尿病の治療薬で体重が増える?

[2024.09.04]

当院で糖尿病の治療を行っている患者さんは 300 名以上おられます。院長は糖尿病専門医ではないので基本的に軽症というか、「ある程度血糖コントロールがついている患者さん」を総合診療の範囲で管理しております。

そのなかで、経口血糖降下薬の "チアゾリジン薬" という、「インスリンが作用する細胞のインスリン抵抗性を改善して血糖値を下げる」おくすりがあります。

このチアゾリジン薬、糖尿病に対する武器として使用される頻度が少なくなりつつあり、その理由のひとつとしてこの薬がもつ副作用のなかに「体重増加」があることが挙げられます。

ご存知のように糖尿病では体重管理が重要で、その増加は患者さんに大きなマイナスになりえます。チアゾリジン薬は体内に水分を貯めこんでしまう傾向があり、下腿の浮腫(むくみ)も起こりやすく、心臓にも負担となります。

先日前院長先生の頃から継続してこのチアゾリジン薬を何年も内服していた患者さんで、下腿の浮腫と心拡大(心不全の初期段階である可能性あり)がみられたので中止して他の薬に変更した方がおられました。

そのときに「この薬はときに体重増加の原因になりますので」と伝えたところ、糖尿病治療薬なのに体重が増えてしまうこと、に驚かれていました。現在よく使われるビグアナイド薬・SGLT2 阻害薬・GLP-1 受容体作動薬はいずれも体重が減りやすい薬となっています。

ちなみにこのチアゾリジン薬で最も歴史あるピオグリタゾンが発売されたのは院長が大学を卒業する 2 年前の 1999 年でした。その後様々な薬が出てきたものの、25 年にわたり生き残っているというのは素晴らしいことです。

明日は最近糖尿病だけでなく、心不全や慢性腎臓病の治療にも不可欠であり、今後は慢性肝疾患や尿路結石症、はたまた老化に対しても有効かもしれない SGLT2 阻害薬について書いてみようと思います。ではまた。

 

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