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細野晴臣さんの『恋は桃色』を聴きながら本日も "患者さんにプローブをあてるだけでいろいろなことがわかる検査機器がアタリマエにあること" に感謝しています。

[2026.02.06]

♪ 街のはずれの 背のびした路地を 散歩してたら♫・・・

ある歌の出だしです。わかりますか?

伝説の邦楽ロックバンド、はっぴいえんど の『風をあつめて』です。はっぴいえんど、本当に何回聴いてもいいですね。院長が青春時代に聴いた邦楽ロック、くるり・サニーデイサービス・中村一義・ゆらゆら帝国などなど。彼らに限りませんが、ものすごく多くのバンドに影響を与えた偉大なグループです。

この『風をあつめて』。作詞は Kinki Kids の『硝子の少年』、寺尾聰の『ルビーの指環』など、数多くのミリオンヒットを生み出した松本隆さんですが、作曲はのちに YMO のメンバー(サカモト教授と幸宏兄さんが亡くなってしまい、最後のメンバーになってしまいました・・・寂しい)となる細野晴臣さんです。

細野晴臣さんは、あの沈没した豪華客船・タイタニックに乗船していた唯一の日本人で当時鉄道院の官僚だった細野正文さんの孫です。これは有名な話。無事生還してそのお孫さんがこんな素晴らしい音楽を生み出してくれたことに心から感謝です。

そのタイタニック号沈没に関わっており、院長が診療日は必ず一度は行う画像検査機器がありますがわかりますでしょうか?答えは「超音波」。俗に言うエコーです。超音波は 1912 年のタイタニック号沈没事故をきっかけに、氷山や海中の障害物を探す技術として注目され、第一次・第二次世界大戦では潜水艦を探知する「ソナー」として発展しました。また、金属の内部のヒビを調べる非破壊検査にも使われるようになります。インターネットや手術支援ロボットと同様、"戦争技術から、やさしい医療へ" の一例だったわけです。

超音波は、その起源を遡ると 18 世紀。1794 年にイタリアの学者が「コウモリは目を隠しても飛べるが、耳を塞ぐと飛べない」ことに気づき、"人の耳には聞こえない音” が存在するのではないかと考えました。これが、超音波という発想のはじまりです。19 世紀末になると「ある結晶に力を加えると電気が生じ、逆に電気を加えると形が変わる」という現象(圧電効果)が発見されます。この仕組みは、レコード針やマイクに使われ、のちに超音波を出したり受け取ったりする装置(探触子、われわれが現場でよく「プローブ」と呼んでいるものです)の原理になります。

上に述べたタイタニック事故からふたつの世界大戦が終わると、超音波の技術は医療へと転用されました。そして「体を切らずに中を調べられないか」という、医療者にとっては極めて根源的なニーズから、1950 年代にはいると超音波を人体に使う研究が世界各地で始まります。最初は頭の中(脳)を調べようとする試みでした。結果的に誤りだった部分もありましたが、「超音波で体の中を調べる」という発想そのものが、大きな一歩でした。

その後、腹部臓器を標的として胆石を見つけることに成功したり、腸や胃、乳腺の腫瘍で「正常と病変では反射の仕方が違う」ことが示されたりと、少しずつ臨床に役立つ成果が積み重なっていきます。そして早くも 1960年頃には、今のエコー検査につながる形が整ってきます。水槽に体を浸して検査する、今では考えられない方法もありましたが、「体の断面を画像として見る」という考え方が確立されました。やがて水を使わず、皮膚の上から当てるだけの方式へと進化し、現在の超音波検査の原型が完成します。

こうして超音波検査は、
・放射線を使わない
・体に負担が少ない
・その場ですぐ結果がわかる

という特長をもつ、非常に使いやすい検査として広まりました。もともとは戦争や工業のための技術だった超音波が、いまでは患者さんの体をやさしく診るための道具になっている。これは医療の歴史の中でも、とても象徴的な出来事だと思います。

「当初の目的とは異なるが、結果としてひとびとの生活に役立つものになる」。これは様々な発見・発明の途中で経験されるエピソードです。医学にかかわらず研究はどこでどう実を結ぶかわかりません。もうすぐ衆議院選挙ですが、政権与党にはぜひとも様々な分野に研究開発費を(なにが役立つの?とか、一番じゃなくていいじゃない、とか言わずに)投下してほしいと思います。未来のために。

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