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降圧剤で前立腺がんの病勢低下?

[2023.06.24]

前立腺がんに対して院長が手術をしてすでに 18 年になる、ある患者さんが当院に(千葉県から!)通われております。
その患者さんは前立腺全摘を受けたあと、徐々に腫瘍マーカーである PSA が上昇してきたのですが、たまたま同時期に当時のかかりつけ医から降圧剤が開始となりました。

一般名はロサルタン、商品名はニューロタンという ARB(アンギオテンシン受容体拮抗薬)に分類される降圧剤でした。

その患者さんには、PSA が一定値を超えたら放射線治療を開始しましょう、と説明していたのですが、ニューロタン開始に PSA がどんどん低下して測定限界以下となってしまいました。おかげで放射線治療は回避でき、その後ニューロタンのみで PSA 0.2 以下を 6 年くらい維持することができました。

ARB が悪性腫瘍に効くかも・・・という話は当時から基礎研究でデータがあり、臨床でも他のがん種で経験していたのですが、当時はニューロタンがまだ発売直後であったため、「この薬で PSA 低下がみられたというのは世界初の知見かも!?」と興奮して文献を調べたところ、はやくも横浜市立大学の先生が報告されている(泌尿器外科 22(9): 1235-1237 2009)ことを知り、症例報告におけるスピードの重要性を実感したことを覚えております。

現在、泌尿器科医でありつつもプライマリ・ケアも担う医師となり、あらためて降圧剤の奥深さに気付かされる毎日です。
当院で高血圧治療を行っている皆様、高血圧は日本の国民病です。心不全・慢性腎臓病・脳血管疾患など極めて多くの疾患に血圧は深く関わっておりますのでぜひともベストの降圧コントロールを目指して一緒に歩んでまいりましょう。

最後に、18 年にわたり東京(有明、御茶ノ水)・千葉(柏)・神奈川(秦野)と転々と職場が移ってきた自分の外来に変わらず通院してくださり長くお付き合いしてくださるその患者さんに心から感謝します。

ひとりの患者さんを長く診て、人生を歩む助けとなること。医師にとってこれに勝るやりがいはありません。

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