院内を少し改修してみましたが、最終形態に到達するにはまだまだ長い道のりが必要そうです。
大学時代に東京でひとり暮らしをしているとき、やたらと引っ越す後輩がいました。地方から出てきた奴でしたが、それほどお金に余裕があるようには見えなかったので、「なんでそんなに引っ越すの?」と尋ねると「気分転換です」と言われたことがあります。
引っ越すといろいろと "リセット" した気分になることはなんとなく経験があると思いますが、それはいわゆる "断捨離" などの精神と共通しているかもしれません。心理学の研究でも不要なものを捨てると "視覚的ノイズ" が減り、脳の余力、すなわち "認知の資源" が増加すると言われています。院長はものすごく自分の机がキタナイ方だったのですが、がん研有明病院の医局で隣の席だった呼吸器外科先生の机がものすごくキレイで、優秀な外科医でした。現在はなるべく診療後に診察室で自分の仕事をするようにしています。そうすると翌日の診療がありますので必ず終わるときには片付けざるを得なくなり、自然と整理整頓ができるようになりました(診察室内では)。これがアタマの整理や新しいアイディアに繋がることを期待しています。
そしてクリニックもリニューアルが必要。ということで先週 1 週間のスピード工事で院内の改修を行いました。待合室は少し広くなり、2 つの診察室のうちひとつがすごく使いやすくなり、受付スタッフが業務を行う部屋の照明を明るくしました。建築学の研究ですが、オフィスの照明を工夫(基本的にはやや明るくする)すると集中力が改善すると言われています。さらには院内フリー Wifi も整備しましたので、(あまり待合室に長く滞在する、ということ自体が良いことではないのですが)当院で過ごす時間が少しでも快適になれば幸いです。
できれば待合室は新しい家具をおいて、例えば木材の香りを感じるようにできればと思ったのですが、昨今の物価高で改修費だけで予算オーバーとなってしまい、なかなかそこまでできませんでした。新しい木製の家具は脳の "大脳辺縁系(喜怒哀楽などの情動・意欲・本能行動などに関わる部分)" が刺激され、気分が変わることが分かっているのでぜひそうしたかったのですが予算が・・・。ちなみに古代ローマでは会議中に香を焚いて "決断力" を高めようとした、という記録があります。環境における "香り" というのはそれくらい大事なのですね。
ところで、働く空間が明るく清潔になると、自然と会話が増える、といわれています。ある研究では、オフィスをリニューアルするとスタッフの離職率が下がり、生産性まで上がったという結果も出ています。当院のような小さなクリニックの財産は "ひと"。これはまず患者さんですが、それと同じくらい勤務するスタッフも同じくらい大切です。スタッフによって今回の改修がより気持ちよく働ける空間への変化となっていれば院長としてこんなにうれしいことはありません。
大正生まれで神田須田町生まれの江戸っ子、富佐子おばあちゃんが、「関東大震災の揺れは本当にこわかったし、その後東京が本当に大変なことになった。でもそのあとの都市整備で生まれ変わっていく東京の様子がみんなの "希望" みたいで日々かわっていく(進化していく)ところを目の当たりにする経験ができたのは戦後復興のときみたいだったわ」と言っていました。スケールは全く小さいハナシで大変恐縮ですが、「空間を新しくすること」は、今も昔も「人の心を新しくすること」につながるのかもしれません。
クリニックの改装には患者さんとスタッフが少しでも快適に受診したり働いたりできるように、との院長の思いが込もっています。明日以降、また少しだけ新しくなった当院で皆さんを診察できることを楽しみにしています!さらには外構を含めたもう少し大規模な改修・増築を計画中です。完成まではまだまだ時間がかかります(1 年半くらい?)が、とりあえず建築資材費や人件費がこれ以上爆上がりしないことを祈るばかりです。
改修前・中・後の写真を載せますが、ちょっとリニューアルされた感じが伝わりづらい・・・。だいぶキレイになったんですが。
