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院長もまもなく 50 歳・・・最近「眠りが浅くなってきた」と感じる中年の方に紹介したい、「欧米での不眠症第一選択治療」。

[2025.06.22]

少なくない患者さんに相談されるのが「夜、布団に入ってもなかなか眠れないんです…」という訴えです。院長も 40 歳前までは申し訳ないのですが「1 分でも時間が空いたら仮眠を取れる自信がある」ほど常に睡眠を欲していたので「まあまあ・・・このクスリでもためしてみますか?」みたいな外来をやっていたのですが、最近は極力睡眠薬をはじめから薦めることを割けております。

というのは、睡眠薬よりも効果的で安全な治療があるからです。それが、「認知行動療法 Congnitive Behavioral Therapy for Insomnia(CBT-I)」と呼ばれるもの。

「認知行動療法?なんかむずかしそう…」と感じられると思いますが、中身は別に小難しいことはありません。説明してみましょう。

そもそも不眠症とは「寝つきが悪い」「途中で起きてしまう」「朝早く起きてしまう」「ぐっすり眠れない」といった症状が、

  • 週 3 回以上

  • 1ヶ月 以上続いている

  • 日中の生活(仕事・家事・集中力など)に支障が出ている

という状態。眠れないこと自体が問題ではなく、「生活に支障が出ているか」がポイントです。

たとえばこんなこと、思い当たるでしょうか?

  • 「今日こそ早く寝なきゃ」と意気込みすぎて逆に目が冴える

  • 夜中に時計を見て「ああ、もう◯時間しか眠れない」と焦る

  • 昼間ウトウトして夜に寝つけなくなる

  • ベッドの中でスマホやテレビを見てしまう

こうした“認知”(考え方)と“行動”(習慣)が、不眠を悪化させる可能性があるといわれています。

そういった認知と行動を改善させれば睡眠の質は向上する!ということで欧米では「考え方」と「行動」を整える CBT-I が第一選択治療となっているわけです。

それでは複数の要素から構成される CBT-I に含まれるそれぞれの「作戦」について見ていきましょう。

1. 寝る時間を「しぼる」作戦(睡眠制限)

眠れないからといって「とりあえず早く布団に入ろう」は逆効果!

「必要な分だけ眠る」ために、あえて布団に入る時間を短くします。

例えば「平均睡眠時間が 6 時間の人」なら布団にいるのも 6 時間 + 30 分に制限し、臥床時間を短くした分深く眠ることを目指します。これにより、 睡眠の「質」が上がり、「まとめて眠れる感覚」が戻ってきます。ただし、最低 5 時間は臥床することが推奨されています。そして睡眠効率(総睡眠時間/臥床時間)を(睡眠アプリなどを使って) 2 週間ほど記録し、90% 以上なら「臥床時間 + 15 分」に短縮、85-90% ならそのまま継続、85% 未満なら「臥床時間 -15 分」に調節してまた繰り返す... というスタイルで管理します。

2. ベッドの使い方を見直す作戦(刺激統制)

ベッド=眠れない場所、になってしまっている人、多いです。

そこでこんなルールを作ります:

  • 朝起きる時刻は一定にする
  • 眠くなったときだけベッドに入る(昼寝は 15:00 までに 30 分以内で終わらせ、睡眠圧=眠気の圧力を夜のために温存)

  • 寝室では「寝る」「夜の生活」以外のこと(スマホ、読書、悩みごと)はしない

  • 15-20 分眠れなければ、一度ベッドから出てリビングへ、またはベッドに座る

  • 眠くなったら、またベッドへ行って横になる ⇒ 「ベッド=眠れる場所」と脳に強く関連づける!

3.「心配モード」をオフにする(認知の修正)

眠れない夜、こんなふうに考えていませんか?

  • 「明日に響く!大失敗する!」「もう一生眠れないかも」 ⇒ 過剰な心配

  • 「◯ 時間以上は寝なくちゃいけない」⇒ ひとによって、日によって必要な睡眠時間は変化します

  • 「よく眠るためには早くから横にならなければいけない」 ⇒ 上記のように「眠くなってから」ベッドに入るほうが効果的

これらは睡眠の質向上のためには逆効果。考え方をちょっと変えてラクになりましょう。 不安が和らげば、眠気も自然と戻ってきます。

4. 寝る前の“習慣”を整える(リラクゼーション)

眠る直前の過ごし方が、睡眠の質を左右します。

 おすすめの就寝前ルーティン:

  • 寝る 1 時間前から照明を落とす(日本の住宅は明るすぎる!)

  • お風呂は寝る 90 分前までに済ませるとよい(深部体温を下げる効果)

  • ハーブティーやストレッチなどでリラックス

  • スマホやPCは就寝 1 時間前にはオフ!

→ 「体が自然に眠りに向かうスイッチ」を作るようなつもりで。これらをルーティン化すれば自然と眠くなるはずです。

 

睡眠薬は即効性がありますが、長期使用による依存や効き目の低下(耐性)が課題です。

一方、CBT-Iは根本的な「不眠のクセ」を修正する治療なので、効果が長続きし、再発もしにくいのが特徴。

「時間はかかるけど、じっくり効く」治療なのです。いわば「ヤセ薬」で体重を落とすのではなく「自然なダイエットで徐々に体重を減らしていく」イメージ。

眠れない夜に効くのは、クスリだけではありません。というか、薬は「次の一手」にしておきましょう。「認知」と「行動」をちょっと変えるだけで、あなたの睡眠は見違えるように変わるかもしれません。

「眠れないのは自分のせいじゃない」「眠れない自分も受け入れる」そんなスタンスで、CBT-I をゆる〜く始めてみてはいかがでしょう。きっと、少しずつ、眠れる夜を実感できると思います。院長も本日でゆる〜くですが、もう 3 ヶ月以上意識して続けていますよ\(^o^)/

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