小さなことでも研究するといろいろと面白いというハナシ
本日 12 月 12 日は「5 本指ソックスの日」だそうです。5 本指ソックスを PR するために制定されたのが 1974 年の 12 月 12 日だったから、ということだそうで、本当に毎日毎日いろいろな記念日があるものです。
院長は昔から剣道をしていたので足が擦りむけることが多く、今でも右足のかかとと左足の前半分はだいぶ硬くなっています。剣道をしていたからかどうかはよくわかりませんが、家族から靴下を脱ぐとだいぶクサイ、と昔から言われています。そういえば中学時代もおばあちゃんから「のぶちゃんの足はお兄ちゃんよりクサイわねぇ」と言われたような。そのためいつからか寒い冬場を除いて 5 本指ソックスをときどき履くようになりました。特に運動して汗をかくようなときは必ず。
この 5 本指ソックス、調べてみると意外とたくさんの、「通常のソックスと比較して優れている点を検討してみました」的な論文や報告がありました。トレド大学の Shinohara は「足底にグリッパーを備えた 5 本指ソックスは健常人の動的姿勢制御を改善する」こと、Itano らは「5 本指ソックス装着下での運動時における下肢神経のはたらき」について、Fujii らはそういったこれまでの知見をまとめた 5 本指ソックスのフットケアにおける有用性について報告しています。基本的に高齢者においては 5 本指ソックスのほうが下肢の安定性が通常のものより上回るようです。
どんなささいなことでもその有用性を検討してみる、というのは大事なことですね。これは医学に限らず、というかおそらく物理学や天文学などでは医学よりも多く「実用性があるかわからないが人類にとっていつか『この知見があってよかった』」と感じられる日がくるかもしれない、いや、「そんな日が来なくても一向に構わない。学問を進歩させることができれば!」と思って研究している先生方がたくさんいることでしょう。ヒトは "好奇心" があるからこそすべての山を踏破し、宇宙に思いを馳せロケットを飛ばし、「しんかい 6500」を駆使して深海を探検するのです。厳しい日本の財政状況ですが、新しいフロンティアを開拓する様々な学問の門徒になるべくしっかりした額の研究費を文部科学省にはお願いしたいと思います。院長も医師 9 年目の若手時代に科研費(科学研究助成事業)をいただいたおかげで大学院で研究費の心配をすることなく論文を書くことができたので。もちろん厳正な選考のもとですが。
天文学などと同様、人体もまだまだわからないことがたくさんあります。コロナ後遺症で苦しむ患者さんなどは最近におけるその最たる例かもしれません。当院はさまざまな病態の患者さんが来院されますので、ひとりひとりそれぞれの症状を忙しい外来診療中でもなるべく漏らすことなく効率よく聴取し、少しでも「これはいつもと違うぞ」と感じるようなときは各分野の専門医と協調してベストの診療を提供できればと思っております。
たかが 5 本指ソックス、されど・・・という感じで大きくハナシがふくらんでしまいましたが本日はこのへんで。