メニュー

書店のコーナーを占拠する『〇〇 は食べるな』『〇〇 がすべて』には注意しましょう

[2024.08.15]

昨日書店と本のハナシをしました。院長は仕事柄、図書館と書店では医療系コーナーに行きたくなるのですが、少し前に行ったあるお店ではこんな感じでした。

「腸がすべて」、という本があるかと思えば、「肝臓こそすべて」と言われ、そのとなりで「腎臓をもみなさない」と言われる。

さらに下段をみると結局「自律神経がすべて解決してくれる」と言われて「食こそ最高の薬」のとなりには「朝食にパンを食べるな」「空腹こそ最強のクスリ」・・・。

医療従事者である院長も目がチカチカしてしまうような目立つ・ショッキングなタイトルのオンパレード。医療のことをあまりわからないひとにとってはとても理解できないような状況かと思います。

われわれ臨床医が患者さんを外来でみるとき、特に初診の場合、まずは「患者さんの訴えをじっくり聞く」ことからすべてが始まります。最も困っている症状、これまでの病気やケガ、家族の生活習慣病やがんの有無、喫煙・飲酒歴など。その際、採血や超音波、レントゲン、ときには CT 等の検査所見を踏まえて、たとえば胆石による急性胆のう炎や虫垂炎(いわゆる盲腸)で手術になるかもしれないような緊急性のある病気がないことをまずは確認。そのあとに「おそらくこれは ◯◯ だろう」と推論しながら症状をおさえるお薬や食事や休養などの生活指導を行い診療終了となります。

上記のような本を読む患者さんの多くは、おそらくクリニックや病院を受診するような症状がなく、なんとなくだるい、とか最近ちょっと調子が悪い、とか健診で血圧が高いと言われた、とか緊急性が乏しい病態だろうと思います。

そういった方にお伝えしたいのは、たいてい「◯◯ さえやめれば体調がよくなる」とか「◯◯ さえやれば元気になる」ということはほとんど経験しない、ということです。それよりも職場や家庭内のストレスだったり長い通勤時間だったり運動不足だったり、生活週間・環境の変化で改善する要素が主な原因であることも多かったり、とにかくいろいろな要因が複合的に絡まって症状につながっている印象があります。

本ならお客に手に取ってもらわないといけないですし、ネットはタイトルからその記事をクリックしてもらわないといけないのでキャッチーで派手なタイトルが多いのはこの情報社会では仕方がないことだと理解しています。しかしながら健康に関わることについては是非かかりつけ医など、信頼できる医療従事者に一度相談していただければと思います。

過ぎたるは猶及ばざるが如し。過激なタイトルには注意するようにしてください。

(写真の書籍がすべて健康増進や疾患予防に役立たないと言っているわけではありませんのであしからず)

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME