メニュー

1 年に 1 回、バレンタインデーのときくらいなら出していいかもしれませんがときどきコワいこともある症状に対する対応について。

[2025.08.26]

院長が苦手なもの。まずはアルコール。今はもう和解しておりますが、父親がいろいろとアルコールで問題を起こすひとだったので子どもの頃からお酒に対する苦手意識というか嫌悪感が植え付けられ、そのままおとなになってしまったため、アルコールは避けて人生を歩んでいます。人間不思議なもので、ずっとアルコールを避けているとカラダのほうも反応するのか、今や採血前の腕の消毒でさえ受け付けなくなってきました(もともとアレルギーだったのかも。子どもの頃予防接種などでやっても大丈夫だった気もしますが)。

次に「メインの料理に少量添えられている "箸休め"」。これが苦手です。カレーについている福神漬やラッキョウ。焼きそばについている紅しょうが。お寿司の脇のガリ。幕の内弁当についているタクワンなど。どれも「要らないのに・・・」とか思っています。

あとはコーヒー。香りが好きだったので大学に入った頃から飲んでいたのですが、気がつくとしょっちゅうお腹を壊すようなことがあり、「あ、コーヒー飲んだときにお腹が緩くなりやすいな」と思い当たり、やめてみたら落ち着きました。なのでアルコール・付け合せ・コーヒーと、「大人っぽい食べ物」が苦手、ということになります。つくづく味覚がお子ちゃまですね。

そんな院長が大人になってあまり食べなくなったものがあります。それがチョコレート。子どもの頃は大好きで、しょっちゅう明治のアーモンドチョコレートや、昔懐かしいビックリマンチョコを食べていました。おばあちゃんの買い物に付き合うたび買ってもらっていましたので。しかし、食べると困るほど出てくるのが鼻血でした。ちなみに医学的にはあまり鼻血とは言わず、鼻出血(びしゅっけつ)と呼ばれます。この鼻出血、診療していると(耳鼻科ではなくても)高頻度で診ることがあります。もちろん出血が強いときや長時間止血が得られない場合は受診したほうがよいのですが、レジャー中のことも多い(うちの息子はよく出先で出血することがありました)ので、一般の方にもぜひ知っておいてほしいのが「正しい知識」です。今回は、非耳鼻科医ですが院長が知っている限りの鼻血についての知識を、「世間で言われているけど、それ違いますよ!」という感じで紹介したいと思います。

  • 「首をたたく」:この行動がどのように広まったのかわかりませんが、これで止まる、ということはまずありません。手術中でも止血するときに「叩く」という手技はありませんし、なにより血管は鼻の粘膜に集中しており、首の後ろにアプローチしても止血には繋がりません。
  • 「首を冷やす」:これもまず効果はないでしょう。止血のために血管を収縮させる、というのは理にかなっているのですが(ボスミンという血管収縮させるクスリを染み込ませたガーゼで鼻出血源をおさえる、というのは極めて有効)、やるなら直接鼻の周囲を冷やす方がまだ意味がありそうです。
  • 「ティッシュを丸めて鼻の穴に突っ込む」これは圧迫止血、という意味では良いのですが、あまりおすすめできません。理由はふたつあり、ひとつは、ティッシュが血液とくっついて固まり、抜いた時に再び出血する "二次災害"を招くことがあること。もうひとつはやわらかくないティッシュを奥に押し込んでしまうと逆に粘膜を傷つけて悪化することがあるためです。詰め込むならガーゼ(少し尺があるもの)などの布を利用し、出そうと思えばつまんですぐに出せるように、外に出ている部分をつくるようにしておきましょう。
  • 「横になる」:これはついやってしまいがちですが、(意識がしっかりしていて座れるのであれば)やめておきましょう。というのは、横になることで血液がのどの方に落ち込み、"鼻血を飲んでしまいやすくなる" ためです。では鼻血を飲んではいけない理由はなんでしょう。
  • 「血を飲む」:絶対に飲んではダメです!血液は固まりやすく、凝血塊は極めて消化しづらい、という特徴があります。そうなると胃の中にたまった凝血塊で吐き気をもよおし、その後吐いてしまった場合、血を吐いているように見えるので、あたかも消化管からの出血、すなわち "吐血" と誤診されてしまうことがあります。実際に夜中内視鏡医と内視鏡室の看護師が呼ばれて救急外来に行ってみて内視鏡をしたら、食道・胃・十二指腸は全くキレイでその時点で鼻出血だとわかった、ということは是非とも避けるべきなので。

それではどうすればよいでしょうか。以下、正しい処置について箇条書きにしていきます。

  • 座る
  • 下を向くようにする
  • ゆっくり口呼吸する(鼻呼吸で血液を飲まないようにする)
  • 鼻翼(いわゆるコバナ)を両手でしっかりと少なくとも 15 分おさえ続ける(このときおさえている部分にティッシュとかガーゼを挟んで止血効果を上げる)

これで 15-30 分かけても止まらない、もともと心臓や血管の病気で「血液サラサラの薬」を常用している、ケンカなどによる外傷の出血である、などの場合であればただちに医療機関を受診したほうがよいと思います。

あと、鼻出血ではよく「前方出血」と「後方出血」という言葉があります。前方はその名称のとおり鼻腔の前方、後方はその後方となり、後方出血は止血しづらい事が多い。後方、すなわち「鼻ー口の境目に近い部分」からの出血はすぐに対応しないと危険です。「やたらと口に流れ込む」みたいな感じがしたらすぐに受診するようにしましょう。

当院は都会のクリニックのように歩いていけるような距離に "おとなりの医療機関" がありません。秦野市北地区の患者さんの健康・安全を(もちろんわれわれができうる範囲で、という但し書きがつきますが)守れるよう、標榜している泌尿器科・内科だけでなくある程度の救急対応についての準備もしておきたいと思っている院長でした。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME