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2 年に 1 回初夏にやってくる、医療経営者がとっても気になる "アレ" の骨子が今月中に決まるようです。

[2025.12.11]

われわれ保険診療と中心とする医療機関経営者がいつも気にせざるを得ない 2 年に 1 回のイベント(というかルール変更というか・・・)が「診療報酬改定」です。診療報酬改定とは、医療機関が患者さんに提供した医療サービスに対して支払われる報酬(診療報酬)の体系や点数が見直され、変更されることを指します。2 年ごとにこの見直しがなされ、医療技術の進歩・医療経済の変化・医療費の適正化・医療サービスの質向上・(賃上げなどの)社会全体の動きを反映させること、などが改定の目的です。

診療報酬改定は厚生労働省を中心に、中央社会保険医療協議会(中医協)で議論・審議され、来年 6 月 1 日にせまった改定にむけ、今月は中医協での審議が佳境を迎える時期です(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001568773.pdf の p27 参照)。改定内容は医療現場の現状を踏まえつつ、高齢化社会における医療需要増大への対応・財政状況の考慮・医療サービスの効率化や患者本位の医療の推進といった社会的要請に基づき決定される、とされていますが、なかなかそうでもない、というか政治的な意図などにより調整されることがあります。

たとえば、現在維新の会を中心に「働く世代のの社会保険料負担軽減」を目指した医療費軽減に向けた施策が議論されています。こういった政治的なイシューの解決、という観点でこの診療報酬改定が(ある意味では)利用されることがしばしばあります。おそらく今回の改定で以前このブログでも話題にした「OTC 類似薬の保険外し」が規模の大小はあれ、現実のものになるでしょう。漢方薬はひょっとすると相当数が保険診療で処方できなくなってしまうかもしれません。ものすごく残念なことですが。

この診療報酬改定、先程「2 年ごと」と申しました。では直近、令和 6 年の改定ではどうなったか振り返ってみましょう。令和 6  年 6 月 1 日から当院でも多くの患者さんを診察している高血圧・糖尿病・脂質異常症の 3 疾患に対する生活指導、というのが大きく変わりました。これまではカルテに、禁煙ができているか・目標となる運動をしているか・毎朝(+できれば毎晩)血圧測定ができているかなど、患者さんとの話のなかで目標とした項目について、「指導しました」という内容を記載するのが通例でした。しかしながら、このときから生活指導について具体的な内容(例えば「1 日 30 分以上、5000 歩以上のウォーキングをしましょう」とか)を記載した紙を作成し、診察中患者さんに署名していただくことが必要になり、その運用となってからすでに 1 年と半年が経とうとしています。

この改定により、われわれの業務はやや煩雑になった(説明内容を患者さんに署名していただく必要がある)ことは些か面倒ですが、具体的な内容を書くということ自体はよいことですし、実際にこの紙を作成することでスタッフ間で患者さんごとの目標血圧・血糖値・コレステロール値などが明確になり、管理しやすくなった面もあります。ただ、このような仕様の変化で使用中の電子カルテアップデートにかかる費用は自前で用意しなくてはなりませんし、患者さん自身に「なんでこんな紙に署名しなくてはいけなくなったの?」とこちらが詰められることがあったりと、現場の負担はまあそこそこありました。あまりコロコロ変えられると、2 年ごとに診療スタイルや患者さんの指導内容がブレてしまう気がするので、あまり頻繁な大きな変化はしてほしくないなぁ、と思っております。

診療報酬の改定は、当院のような保険診療中心の医療機関にとっては、経営戦略に大きく影響するイベントです。診療報酬はそのまま当院の医業収入に直結しているからです。ひとつの診療行為や検査の点数が上がれば収益はプラス方向へ働きますし、逆に点数の引き下げや算定ルールの厳格化が入れば、その分だけ収入が落ち込む可能性が出てくる、という極めて単純なハナシです。ただ、影響が出るのはお金の話だけではありません。診療報酬改定は時に、医療提供体制そのものに “再設計” を求めてくることがあります。たとえば、新しい施設基準への対応、スタッフ配置の見直し、必要となる医療機器の追加導入、業務フローの再構築、ベースアップという名の給与水準引き上げなど、診療を行うための大きな環境整備作業が必要になることもあります。

この影響の大きさは医療機関の規模や診療科によってさまざまです。ただ共通しているのは、改定内容を正しく理解し、早めに準備しておかなければ経営が苦しくなったり、提供する医療の質が落ちてしまうリスクがあるという点です。だからこそ、診療報酬改定には「どう備えるか」が重要になります。この "備え" で大事なのがクリニック経営者仲間どうしの「横のつながり」です。幸い当院のまわりにも多くの素晴らしい院長先生がおられます。お互い診療で多忙ななか、定期的にミーティング、というのは難しいのですが今後も引き続きそういった "良いお付き合い" を続けていければと思っております。

写真はいつも助けていただいている秦野市柳町 の "くまざわ脳神経・内科クリニック" の 熊澤 竜哉 先生ならびにそのスタッフの皆様と当院と合同食事会後です。これからもどうぞよろしくお願いします。

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