AI やネットで自分の不安を自己増幅させないようにご注意ください。
高市内閣の支持率が高いですね。とりあえず国会の質疑を見ていて「何を言っているのかわかる」だけでもこれまでの自民党総裁・総理とは違うな、くらいのことは政治オンチの院長にもわかります。トランプ大統領や APEC 各首脳と並んだときに "華" があるのもわれわれ国民には好印象な感じです。ガゾリン代が下がるのもスピード感ありました。あとは医療を含めた社会保障がどうなるか。今後の保険診療がどのようになっていくのかが決まりますので、そのあたりは注視しておこうと思います。
さて、その高市さんが総裁選のときからアップしているのが「教えて! AI サナエさん」という、"高市早苗が 2024 年に出版した書籍、2024 年 9 月以降に公開している YouTube・X の公式サイトの情報をもとに、皆様からのご質問にわかりやすくお答えする AI アシスタント(https://sosaisen-sanae.com/ai-sanae)" です。サービス自体は総裁選終了とともに 2025/10/4 で終了してしまいましたが、国民からの質問を本人と会話できているかのように回答してくれるこのスタイルはなかなかよいサービスと思いました(もともとのアイディアはチームみらいの安野たかひろ党首によるものだと思うので "パクリ" 的なところはありますが・・・)。
最近は当院に来られる患者さんでも「いろいろ症状入力したら Chat GPT が医療機関にかかれって言うから来た」「よくわからないけどおヘソのトラブルは泌尿器科って Gemini に言われた」「秦野市内で漢方って検索したら AI がここともう 1 院を指定してきて、こっちのほうが近いから」などのきっかけが増えてきました。ただそのなかで、少し心配になるのが Chat GPT-oriented disease ともいうべき状態になっている患者さんです。「なにか症状が出現 ⇒ 心配になる ⇒ ネットや AI で調べる ⇒ コワいことが書いてある ⇒ さらに調べる ⇒ さらに心配になる(繰り返し)」というサイクルで 患者さんご自身が自らの症状を勝手に増幅してしまう、みたいな状態で来院されることがあります。
特に少しメンタル的に不安定になっている患者さんの場合に院長は心配になります。なぜなら「かかりつけ医がいないこと」とか「ネットにあふれる曖昧な情報」とかではなく、「そもそもそのひとのそばに Chat GPT 以外に話す相手がいない」ことこそが問題だと思うからです。こういった方への処方箋として薬を出してもなかなか十分な効果は見込めないような気がします。まずはわれわれ医療従事者が受容的に接し、そのうえで患者さんのリアルな生活向上とメンタル上の健康増進になるようなサポート体制を構築する、結果として患者さんがコミュニティのなかで交流できる人的資源を見つける、という流れになっていくのが望ましいかたちかもしれません。
ちなみに症状が出たときにまず AI に聞いてみる、ということは、知識へのアクセスが滑らかになったこと自体は祝福すべき流れですが、そこで “自己診断” が完結してしまうと、医学は一気に足元をぐらつかされます。症状というのは、極めて多層的で、同じように見えてその実まったく別物だったりするからです。AI の答えはあくまで「可能性の地図」。その地図だけで登山に出るのは、ちょっと勇ましすぎるような気がします。ただ、今後 AI が問診するだけではなく「患者さんの表情を視診できる」「患部を触診したり聴診したりできる」ようになるとまた別かもしれませんが。
AI は医療をサポートしてくれる素晴らしいツールですが、診療という舞台の上では、現時点はまだ助演の立場です。主役は、目の前の患者さんを診て考え抜く医療者。2025 年現在においては、症状があれば、どうか迷わず医療機関へ。お待ちしております。
