10 代・20 代・30 代で死亡原因として最も多いのは・・・
本日相模原市医師会主催の表記研修会で勉強してまいりました。
院長は精神科医ではありませんが、最近は長引く不況や SNS の急速な普及などを含む社会構造の急激な変化が影響しているのか、来院される患者さんのなかで精神科・心療内科などのサポートが必要ではないか、という患者さんが少なからずいらっしゃいます。
そんなとき、院長のような、非精神科であるかかりつけ医の役割は、「治療をする」ことではなく「精神疾患のリスクを示すサインに気づき、適切な対応を図る」ことです。最近、この役割を担うひとはよく "ゲートキーパー" と呼ばれます。
内閣府より発行されている『ゲートキーパー養成研修用テキスト 2011』によるとゲートキーパーは、精神疾患リスク・自傷リスクなどがありそうな患者さんに気づいたら「り は あ さ る」を実践することが薦められています。
●り: リスク評価
●は: 判断・批評せずに話を聴く
●あ: 安心・情報を与える
●さ: サポートを得るように勧める(心療内科への紹介など)
●る: セルフヘルプ(自分でできる対処法)を勧める(例えば休息のとりかたや睡眠導入までのルーティン化を一緒に考えるなど)
がその内容です。
現在 10 代・20 代・30 代における最多の死因が自殺(2022 年の人口動態統計によると 10 代で 782 名、20 代で 2397 名、30 代で 2465 名)で、先進国 G7 における自殺死亡率は長らく日本がトップです(よく国民性が似ているところがある、とされるドイツの約 1.5 倍:下図)。日本は安全な国、とされていますがこれはあくまで身体的なことに関することで、心に関わることについては生きづらさを感じる方がこれだけいます。われわれ開業医がなんとかゲートキーパーとなり、少しでも自殺による死亡者の減少に繋げられれるよう、これまでより積極的に身体症状以外についても声掛けをしてまいります。
朝日新聞デジタル 2022 年 10 月 15 日より。