エビデンスを踏まえたタマゴとのつきあい方
「コレステロールが高いから卵は食べないようにしましょう」と言われたことはあるでしょうか。
確かに卵はコレステロールが高く、鶏卵一個(50-60g)あたりの 200-260 mg が含まれます。厚生労働省の基準ではこれまでにコレステロールについて、1 日あたり男性 750 mg 未満、女性 600 mg 未満が推奨されていました。
ところが近年、米国を中心に食物からのコレステロール摂取量・血液中のコレステロール値の相関関係は決して確定的なものではなく、食品によるコレステロール制限は不要、とされガイドラインからコレステロールに関する制限がほぼ削除されました。
日本でも鶏卵のコレステロールに関して、卵の摂取量と冠動脈疾患や脳卒中の死亡率や糖尿病有病率との関連は乏しいという報告や、1 日鶏卵 2 個以上摂取した群とほとんど摂取しない群との死亡率を比べても有意差はみられないという報告があります。
こういったことは医学の世界ではよくみられ、いわゆる「通説」があまりエビデンス(科学的根拠)に基づいたものではなく、「実際に検証してみるとあまり関係がない」ということは比較的経験されます。
ただ、エビデンスばかりを振りかざすのは非常に危険です。エビデンスはあくまでも参考にして最終的な判断は置かれている状況や患者さんにあわせて行われるべきでしょう。
・・・結局、卵は何個食べても大丈夫なのでしょうか。卵は納豆、バナナ、サツマイモなどと同様栄養的に非常に優れた食品です。海外の研究では 1 日に 3-4 個食べても全く問題なし、という結論の論文もあります。
院長の見解ですと、健康な方は 3 個まで、すでに脂質異常症で内服しているような方はせいぜい 2 個までとし、タンパク質摂取のためには卵以外の肉・魚・大豆製品で補うようにするのがよいと思います。
写真は TKG です。この略語がわからない方は https://www.japan-tkg.jp/what/ URL をみてみてください。