国立がん研究センター東病院骨盤外科チームの思い出その 2 ー 自分が出会った中で最も感銘を受けた外科医
院長は泌尿器外科医としてずいぶんたくさんの手術を行いました。
勤務医としてかなり長い間がん専門病院におりましたのですが、そのなかでよく経験したのが「他診療科とのコラボ手術」です。
例えば直腸がんが膀胱に広がっていたり、(しばしば巨大になりがちな)骨盤内の肉腫(厳密に言うとがんとは異なる悪性腫瘍で、筋・神経・骨などの "非上皮性細胞" から発生するもの)などの症例では、膀胱と直腸を同時に摘除し、さらにその周辺にある筋や皮膚なども切除ないと腫瘍細胞を完全に取り切れません。そのような場合はまず泌尿器科+外科で臓器を摘除し、整形外科に周囲筋組織を合併切除してもらってさらに術中形成外科の先生に筋皮弁をあててもらう・・・などいろいろな専門医の力を借りることになります。
そのなかで院長が「この先生こそこれまで自分が会ったなかで最高の外科医だ!」と思ったのが現在国立がん研究センター東病院 大腸外科長・伊藤 雅昭 先生です。素晴らしい点を挙げていきます。
・新しいものを積極的に取り入れる新規性がすごい
・アイディアをカタチにするための組織づくりがすごい
・一方でこれまでに脈々と引き継がれてきた外科学史についても精通している
・手術に必要な物品の準備や配置、助手との役割分担などの「型づくり」が的確
・外科医に必要な 目⇒手⇒頭 それぞれの熟練レベルがすごい
・若手指導の際、「どこを学べばよいか」を熟知している
・内科など医療の他分野のみならず工学や芸術など最終的に手術の向上につながるものなら貪欲にコラボしていく・・・などなど。挙げればキリがありません。
このような外科医が日本にいることは誇らしいことで、今後も世界レベルの業績を発表されていくことは間違いない先生です。院長は以前からひとつ伊藤先生と一緒に仕事をさせていただいており、素晴らしい刺激を受けています。この御縁に感謝してまた学会などでご一緒したいと思います。
写真は 2022 年の外科系連合学会シンポジウムでご一緒したときのものです。院長(右端)の隣が伊藤雅昭 先生で、真ん中が伊藤先生の前科長である斎藤典男先生、さらにそのお隣が東病院で当時形成外科部長、現在は岩手医科大学形成外科教授の 櫻庭 実 先生、左端が徳島県鳴門病院形成外科部長の 福永 豊 先生です。2 年前の写真なので先生方からの写真掲載許諾をまだ取っていないのですが、きっと皆様許してくださる・・・ハズ・・・。誰かに「この写真は載せるな!」と言われたら削除します・・・。