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天気で調子が悪くなる患者さんはめずらしくありません

[2024.08.19]

外来をやっていると最近比較的多くみられるのが「天気や気圧の変化で症状がかわる」という患者さんです。

ウェザーニュース社のデータによると、男性よりも女性のほうがそういった症状を持っていることが多く、症状としては「頭痛・肩こり・首こり」が最多だそうです。

また気管支喘息の患者さんでは気圧の変化、すなわち台風シーズンであり、線状降水帯とよばれる予測できない大雨をもたらす気象変化が多いこの季節に病態が悪化することがあります。こういった症状は内耳にある気圧センサーが関連することがわかっており、このために上記の症状や「めまい」など、人体の頭に近い部分に症状が起こりやすいと考えられます。

頭痛・肩こり・首こり・めまい・・・。いかにも漢方薬が効きそうな症状ですね。そうです。こういった天気による症状に院長がよく処方するのが漢方薬です。特に五苓散という方剤は体内の細胞膜という細胞の外枠にある「水選択的チャンネルタンパク」とよばれる "アクアポリン" の働きを抑えるように作用します。これにより細胞内外の水の移動が制限され、むくみやそれにともなう頭痛などをおさえることができます。

漢方はよく「よくわからないけど効くこともある」などと言われますが、五苓散におけるアクアポリン、麻黄剤におけるエフェドリン(交感神経を活性化)、六君子湯におけるグレリン(胃内分泌細胞で産生され、摂食亢進や体重増加・消化管機能調節などエネルギー代謝調節に重要な作用をもつ)など、分子生物学的に機序が解明されている方剤は多数あります。

われわれ臨床医は漢方薬に限らず患者さんの症状という「マクロ」の部分と体内で起こっているであろう「ミクロ」の病態を考え合わせながら処方を検討しています。「なんでこの処方なんだろう」と思ったら是非気軽に質問してください。時間の許す限り病態と治療機序について説明します!

写真はウェザーニュースのサイト、"天気痛情報" です(https://weathernews.jp/pain/)。天気で症状が悪くなる方はひとつ参考にしてはいかがでしょうか。

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