はじめて手術をうけた 2007 年 10 月の頃 を振り返る- その 4
昨日までの流れにより、急性虫垂炎の臨床診断で腹腔鏡下虫垂切除という手術に臨んだわけですが(といっても自分は麻酔かかって寝ている)、術中に思わぬことがわかりました。腹腔鏡手術ではお腹のなかに入ったときに腹腔内全体を観察して手術操作予定部以外も必ずひととおりチェックします。このとき "メッケル憩室" という、おそらく生まれつき持っていた小腸の憩室(消化管壁の一部が外側に突出し、袋状になっている部分をこう呼びます。ときに腸炎や腫瘍の発生部位となります)がみつかったのです。
虫垂切除自体は 1 時間もしないで終わったのですが、その後メッケル憩室の切除ならびに腸管吻合(切除して欠損した腸管部分を縫い合わせる、といってもステイプラーと呼ばれるホチキスの親分みたいな器具を使うのですが)を追加で行い、これに 1 時間ほどかかり、あとはお腹を開ける時間と閉じる時間がありますので合計 2.5 時間の手術で終了しました。
手術終了時にまだ 3 歳と 1 歳のふたりの幼子を抱えた妻が病院に来ていたので、当時の泌尿器科部長である 福井 巌 先生から妻に手術内容の説明がありました。
このときのことを妻が教えてくれたので再現した会話内容を下記に。
福井先生: 手術は無事終了しましたが、思わぬものが見つかりました。
妻: なにがあったのでしょうか?
福井先生: 外科の先生がメッケル憩室を「目っける」ことになったのです。
妻: !?・・・それはどういう・・・?
福井先生: いや、ですから思わぬものを術中「目っけた」のです。メッケル憩室です。
妻: はあ・・・。
福井先生: あまりウケませんでしたね。すみません。
・・・と言ってメッケル憩室について説明し、終了となったようです。
福井先生は非常にアタマの回転が早い先生で術中にいつもくだらない、もとい、面白いオヤジギャグを真面目な顔でおっしゃる素敵な上司でした。しかしながら初対面の妻にはちょっとその面白さは伝わらず、全く笑えなかったそうです。
そんなこんなで手術が終わりました。術中はもちろん麻酔がかかっているので何も覚えておりません。しかし術後に術前の症状を超える苦痛が待っていたのです・・・。明日(最終話)につづく。
「ダジャレを言う熟練外科医」のイラストを Chat GPT に描かせたらなぜか手が 3 本になっていました・・・。「麻酔で寝ている患者さんのそばでダジャレなんて不謹慎な・・・」と思うかもしれませんが、ユーモアは外科医・手術室スタッフの緊張をほぐす効能もあります(https://my.clevelandclinic.org/podcasts/nurse-essentials/the-role-of-humor-in-nursing)。どうかご容赦を。