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わが国のインフルエンザに関すると思われる昔の記録(西洋ではヒポクラテスの時代に既にある)

[2025.01.04]

今年は例年より早い時期からインフルエンザの流行がみられました。特に成人に広がるのがだいぶいつもより早かったです。皆様も手洗い・うがい(個人的にはうがいよりも飲水のほうが手っ取り早いような気がしていますが)を励行して予防を心がけましょう。

さて、わが国の古い文献を紐解くと、インフルエンザの流行と推測される記載が多数みられます。すでに『日本三代実録』(858〜887 年の清和・陽成・光孝天皇の三代について編纂された歴史書)には "シハブキヤミ(咳病(がいびょう)、咳逆(がいぎゃく)"の文字がみられ、これが現在のインフルエンザに相当すると考えられています。 このブログで何回か紹介している、日本最古の医学書『医心方』(平安時代に成立)にも「咳逆病」についてその対処法とあわせて記されています。

江戸時代になると武士や僧侶だけでなく町民も日記をつけるようになったために多くの記録が残されるようになり、江戸中期から後期の 170 年間でおよそ 20 回を超える流行があったと推測されています。8-9 年に 1 回。当時の栄養・衛生・医療の状態を考えれば少ないくらいの数字でしょうか。

江戸末期〜明治初期にはインフルエンザ予防のおまじないとして「久松留守」という御札を玄関先に貼っておく、という風習がありました。これは当時大人気だった歌舞伎や浄瑠璃の演目『お染久松』にちなんだもので、1889 年(明治 22 年)に流行したインフルエンザが「お染風邪」と呼ばれたために「お染さんが愛した久松はこの家にはいませんから(インフルエンザよ)、家に入ってくるな!」ということでこのおまじないがなされるようになったそうです。

今でも "アマビエ" に新型コロナウイルスの退散を(シャレとはいえ)お願いするくらい「おまじない」や「ゲンを担ぐ」のが日本人。科学的でいるという態度はもちろん大事ですが、「気持ちの問題」としてこういったものに頼るのもアリかなぁと思う院長でした。

寒い時期ですが三密になるまえにこまめな換気を!

 

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