キンパブ・レタス・コンタの OD ってなに?
タイトルの言葉がすべてわかる中高年以上の方は少ないかもしれません。最近若い方(女性が多い)の間で流行している OD(オーバードーズ)に用いられる市販薬です。
ポイントは市販薬というところで、医師の診察も不要ですし(一応ひとり一箱まで、などの規制はあるものの、ドラッグストアをハシゴすれば購入できてしまうので)入手量の規制はなく、ネットでも購入可能です(すべて Amazon で購入できることを本日確認しました)。これらを中高生の一部(ある研究によると 60 人にひとり)の方が過料服用してグッスリ寝たり、つらい気持ちを紛らわしたりしているようです。
これら市販薬に対する誤解は「市販薬は処方薬よりも効果が弱い」ということで、これは医師からすると非常に違和感があります。というのは、市販薬に関する規制は処方薬の規制とは異なり、現在の薬理学からするとかなり古い成分(たとえばで言うと「アリルイソプロピルアセチル尿素」。これは『イブ』とそれに関連する総合感冒薬などに入っておりますが、依存性・薬疹などのリスクがあり、しかももう海外ではほぼ使われていない成分で、日本でも処方薬には使われていません)が含まれていることが往々にしてあるからです。
こういった市販薬の OD でタイトルのような言葉を X(旧ツイッター)で検索すると出るわ出るわ・・・ OD の(全く個人的で科学的根拠に全く基づいていない)やり方やそのときにどんな感じで気持ちよくなったかなど。
ただ、これらを OD する若者の多くは実生活では意外と孤独や人生の虚しさ、生きづらさなどを抱えているケースが多いと言われます。かつての覚醒剤取締りのような「ダメ!ゼッタイ!」ではなく、それぞれの患者さんが置かれている状況をひとつひとつ紐解いていくのが理想的な対応と言われています。マンパワーや体制の点でなかなか難しいことなのですが。
とりあえず生きづらさを感じている若い方々、どうか医療を頼ってみてください。精神科や心療内科が望ましいですが、とりあえず当院のようなかかりつけでも初期対応は十分可能だと思います。
依存症について知りたい方へ。国立精神・神経医療研究センターの松本俊彦先生による素晴らしい入門書です。是非読んでみてください。