夜間の排尿が寿命に関連?
排尿症状のなかで最も患者さんの生活に支障をきたすのが夜間就寝中の排尿と言われております。
この症状は簡単に言うと「夜の就寝が排尿により妨げられる」ことなのですが、病態としてはなかなかに奥が深いです。
というのは、この症状に関連する項目として少し挙げただけでも
・水分摂取量
・糖尿病に対する経口血糖降下薬などの内服薬使用有無
・塩分摂取量
・就寝時刻(早すぎ/遅すぎ)と睡眠時間
・アルコール摂取の有無
・運動量
・睡眠時無呼吸症候群など睡眠障害の有無
・高血圧などを含めた心血管疾患の有無
・・・細かく言えばもっとありますが、これだけの事象が関わっているため、まずは内服薬を飲みましょう、とは簡単にいかず、運動や食事の指導・飲水指導、さらには内服薬を処方している主治医先生との相談など、非常に時間と手間がかかります。
ただ泌尿器科医としてはこれらの指導をしっかりと行うようにしています。
それは夜間頻尿があるかないか、さらにある場合はその回数が何回か、ということが単なる睡眠時間だけの問題ではなくその患者さんの寿命に関わるからです。
このあたりについては明日また述べたいと思います。
まず手っ取り早く夜の排尿回数を減らしたければ
・アルコールを控える
・日中の活動時には下肢に弾性ストッキングを着用する
・夕食前に 30-40 分くらいの散歩など軽い運動をする
というのをやってみてください。これらを行うだけで結構改善することがよくありますよー\(^o^)/
(Funada S, J Urol 2020)
有名な「ながはま 0 次コホート事業」と呼ばれる、滋賀県長浜市民のデータを集めた疫学研究です。ここから非常に多数の論文成果が発表されており、それによると男女ともに 50 代・60 代・70 代以上と年代が上がるにつれて夜間排尿がある患者さんの割合とその排尿回数が増加してくことがキレイに見て取れます。ではこの症状がどう寿命に関わっていくのか。明日はそのあたりを説明します。