「とりあえず」のハコ
われわれヒトに限らずすべての生物は、生まれたときから放射線を浴びております。すなわち、地球上で生きていく限り、放射線に常にさらされているということです。
この放射線は目に見えません。高校数学で「虚数( Imaginary number)」が出てきたときも「目に見えないものに気づく、発見する、発明するというのはすごいことだなぁ」と思ったのですが、その意味でわれわれが日々用いているエックス線(X-ray)の名付け親であり発見者、物理学者 W.C. レントゲンの功績は偉大です。
彼は X-ray を「未知の光」という意味でエックスの文字をあてました。わからないものを「エックス」とするのは方程式などでおなじみですね。主題と関係ありませんが、昔『遊星からの物体X』という邦題のアメリカホラー映画がありました。原題は "The Thing"。ちょっと前まで映画には面白い邦題がついていたのですが最近は英語をそのままカタカナにしていることが多く、やや残念です。 ・・・本当に関係ないですね。ただ、「わからないものを放置するのではなく、 "未知のもの” と認識して"とりあえずの箱" みたいなところに置いておく」という行為は、個人的に素晴らしく高度な行為だと思います。
卑近な話ですが、開業するといろいろなことを同時進行でこなさなければなりません。たとえば神奈川県や秦野市関連の書類業務などで「これはどう処理すればよいのかな?」という場面が多くあります。そんなときは「時間をかけてなんとかひとりでやり切る」のではなく「そのタスクを "とりあえずの箱" に入れておき、スタッフや外部のひとに問い合わせたり教えてもらったりして対応する」ほうがうまくいきます。
医師生活ももう 24 年目になりましたので患者さんの診療については(よほど災害医療時などの緊急事態でなければ)「何も対応できずに立ち尽くす」、ということはあまりなくなってきました。しかしながら事務処理・当院と関わって下さっているたくさんの業者さんとの折衝・患者さんが快適に受診できるような仕組みづくりなどについては、院長はまだまだ勉強中です。
今院長のアタマの中の「とりあえずのハコ」は満杯に近いくらい、いろいろなタスクが置かれております。ひとつひとつ時間がかかるかもしれませんが丁寧に片付けていきたいと思っております。
ちなみに W.C. レントゲンはノーベル物理学賞の記念すべき第一回受賞者です。X-ray の発見は第一回にふさわしい、素晴らしい業績ですね。
写真はルドルフ・アルベルト・フォン・ケリカーという生理学者の手をレントゲン博士が撮影したものです。今では当たり前の画像ですが、こういった画像を初めてみたレントゲン博士らの興奮はすごかったそうです。・・・確かに 100 年以上前にこんなものを初めてみたらサンドイッチマン並に興奮してきますね。
(W.C. レントゲン博士についての Wikipedia ページより)