「オルタナティブ・メディシン」「コンプリメンタリー・メディシン」の必要性と現状
院長は漢方診療も専門のひとつとして行っています。しかしながら、大学教育では漢方を含めた東洋医学的な講義は全くありませんでした。
そのため漢方診療は医師になってから独学で勉強して身につけ、現在はさらにしっかりと勉強するため東海大学の東洋医学科で外来診療に参加させていただいております。
こういった漢方や、あと鍼灸・ハーブ・気功など、西洋医学とは異なる診療・治療法をまとめて「代替医療(オルタナティブ・メディシン)」・「補完医療(コンプリメンタリー・メディシン」と呼ばれます。オルタナティブというのは「代替品」という意味があることから少し否定的に捉えられることがあるため、どちらかというと補完医療のほうが用語として使用されやすい印象があります。
この補完医療、基本的に保険診療で認められているものは漢方薬の処方しかありません。院長が知る限り、公的な医療保険制度がある国で漢方診療のような補完医療に保険が効くのは日本だけです。補完医療には、マユツバなものも多数ありますが、漢方はうまく使えば本当に驚くような効果を認めることがあります。ですので、こういう医療も必要と院長は考えます。
・・・しかしながら、(補完医療ではなく)代替医療の中には単なるお金儲けが多いのも事実です。最近いろいろな患者さんから「通信販売で入手した漢方」を「これ内服していて大丈夫でしょうか?」と尋ねられることがあります。それらを確認させていただくと、正直「これだったら普通に保険で漢方薬内服したほうが効きそうだし値段も安いのに・・・」と感じることがあります。
こういった医療を使うかどうかは患者さんの自由ですが、紅麹健康被害のようなこともありえます。健康食品と呼ばれるものも、常用している場合は是非一度かかりつけの医師に相談してみてください。たとえば「トクホのお茶だけで中性脂肪を下げたいと思っています」とか言われると、院長としては、「生活習慣病の病態改善は西洋医学の比較的得意とするところなので、しっかりと治療薬を使ってはどうでしょう」と提案したくなります。必要であれば少し別日に少し時間を取って、ゆっくり相談することもありますので、是非当院かかりつけの方は院長に気軽に聞いてみてください。
写真は日本プライマリ・ケア連合学会の和文ジャーナルである『プライマリ・ケア』に連載されている「家族をみるための Family Kampo(吉永 亮 先生)」です。プライマリ・ケアは院長専門のひとつですが、これを勉強すると、自然と漢方診療も勉強するようになり一石二鳥と感じています。