今度とある中高一貫校で薬物乱用防止の講演を行います
タイトルのような依頼をいただきました。薬物乱用というのは基本的に精神科の領域であり、院長にこのような依頼が来ることは少ないのですが、院長は個人的な経験から「依存症」に深く関わったことがあります。
詳細はここでは申せませんが、幼少期に依存症関連でかなり強烈な体験をしました。依存症、というと自分とは別世界のこと、と感じることが多いと思われると思いますが、下記に思い当たる節はないでしょうか?
・YouTube ショート動画や TikTok を次々と観て数時間がたってしまう
・Amazon で出てくるオススメをクリックして数時間がたってしまう
・やめたいと思っているのにお酒やタバコ、パチンコなどをやめられない
上記はすべて程度の大小はありますが依存症を疑う徴候です。しかしヒトは誰しも多かれ少なかれなにかに「依存」して生きているのであり、依存症とは誰しもがなりうるものです。
そのなかで大麻や MDMA など、違法とされているものだけ糾弾するのは少し違うかな、と思います。特に、違法ではないもののアルコール。権威ある医学雑誌、『Lancet』に掲載された、イギリスの有名精神科医、デビッド・ナットによる報告では、個人に対する健康被害と社会に対する被害を足して一番有害な薬物はダントツでアルコールでした。しかしテレビでアルコールのことを誰も「危険な薬物だ!」とは言いません。これはアルコール飲料を販売している会社が大スポンサーであったりかつて禁酒法の時代に社会が非常に混乱したことも影響しているのかもしれませんが、いずれにせよ「合法・違法」はそれほど医学的に根拠があるくくりではないようです。
このあたりのハナシは個別のケースと総論を分ける必要があり、様々な角度からのコメントが必要になるのでこれ以上深入りしないようにしておきますが、いずれにしてもわれわれかかりつけ医が様々な依存症の入口にいる方に適切な指導が行えればなぁ、と思うことがよくあります。
明日は少し最近の若者にみられる依存症の特徴についてかかりつけ医の立場から思ったことを述べてみたいと思います。
イラストは禁酒法が施行されていた 1920 年代アメリカのイラストを Chat GPT に描いてもらったものです。Speakeasy と呼ばれるアルコール密売所を兼ねたバーの様子や当時のファッションが描かれており、勉強になります。