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令和 100 年は 2118 年になりますがその頃の日本と世界はどうなっているのか想像してみる日が今日かもしれません。

[2025.04.29]

本日昭和の日。院長が子どもの頃は「天皇誕生日」でした。今上天皇の御誕生日は 2 月 23 日、上皇の御誕生日は 12 月 23 日でしたね。昭和 52 年生まれの院長は平成元年(1989 年)に中学校に入学しました。令和元年(2019 年)は・・・特記すべきキャリアや生活の変化は思い出せず、ひたすら診療と臨床研究などに勤しんでいたと思います。

 降る雪や 明治は遠く なりにけり

とは俳人の中村草田男による有名な一句ですが、詠んだのは昭和 6 年で、すでに明治が終わって 20 年ほど過ぎていた頃だそうです。現在はすでに昭和が終わって 36 年。生きている間に昭和・平成・令和と 3 つの時代を生きることができ、もしかするとあとひとつふたつくらいは年号を知ることができるかも・・・と妄想しながら過ごしております。

さて、昭和がもし続いていれば、今年は「昭和 100 年」だそうで。なんだか、区切りのよい大きな数字を目にするだけで、何か特別な感慨を覚えてしまうのは、私だけではないでしょう。

昭和という時代はよく「激動の時代」と言われます。戦争を経て、焼け野原からの復興、そして高度経済成長。東京オリンピック、万博、新幹線、カラーテレビ……目覚ましい発展と変化が、年ごとに押し寄せてきた時代でした。
院長が生まれたときには、すでにカラーテレビも冷蔵庫もあり、クルマも走っていましたが、それでも子ども心に、親や学校の先生たちが語る「昔は無かったんだよ」という話には、不思議な浪漫を感じたものです。

今、私たちが「令和の子どもたち」に昔話をすることがあるとすれば、
「スマホがない時代があったんだよ」
「写真はフィルムで撮って、現像に何日もかかったんだよ」
といった具合でしょうか。
もしかすると令和の子たちには「えー、信じられない!」「ヤバい」「マジ草」と笑われるかもしれません。
でもなんとなく彼らも気づくのかもしれません。「どんなに新しいものも、いつかは昔のものになる」ということを。

昭和 100 年。「もしも続いていたら」という仮定には、どこか少し切なさがあります。かつて慣れ親しんだ年号が、ある日突然「過去」のものになる。それは、自分が生きてきた時間の一部が、歴史書のページに挟まれていくような、そんな感覚です。

だからこそ、でしょうか。最近、街を歩くと、やたらと「昭和レトロ」をテーマにした喫茶店や雑貨屋さんを見かけるようになりました。瓶入りのコーラ、分厚いホットケーキ、クリームソーダ、チューリップの形をしたガラスの灰皿。どれもこれも、昭和に生まれ育った世代には、胸をくすぐられる光景ばかりです。

特に喫茶店文化。私が高校生だった頃は、マクドナルドやロッテリア、デニーズやロイヤルホストなどが多く出店するようになってきたとはいえ、まだ「街の喫茶店」が幅をきかせていました。学校帰りに、友人たちと背伸びして入り、ひとり単価 500 円で長居して怒られたこともありました。今思えば、申し訳ない限り。茅ヶ崎駅前の喫茶店チェスさん、すみませんでした(もうこの喫茶店もなくなってしまいましたが)

今、あの頃の喫茶店に似た空間に入ると、ふっと時間が巻き戻る気がします。せわしない時代だからこそ、あの「少し気取った」時間の過ごし方が、また求められているのかもしれません。

そして、「音」。昭和といえば、やはり音楽も忘れられません。カセットテープ、ウォークマン、ラジオから流れるヒットチャート。
手で巻き戻したり、音飛びを直したりしながら聴いたあの感触。今や音楽はストリーミングで、数百万曲がワンタッチで聴ける時代ですが、あの「手間」や「不便さ」の中に、音楽への愛着は確かに存在していたように思います。

昭和の終わりごろに流行った曲を、今でもふいに口ずさんでしまうことがあります。歌詞の意味も、当時はよくわかっていなかったはずなのに、メロディとともに、感情だけが鮮明に蘇ってくる。不思議なものです。そう考えると、たとえ年号が変わり、時代が移り変わっても、人の心の中には、ちゃんと「昭和」が息づいているのかもしれません。

さて、時代は進みます。今や "AI" という言葉が、まるで家電製品のように身近になりました。自動運転、ロボット手術、生成 AI など。医療の世界でも、日進月歩、どころか秒進分歩みたいな勢いで技術革新が進んでいます。自分自身、診療の現場で手術が「開腹⇒腹腔鏡⇒ロボット」と急速に変化していくところを目の当たりにしてきました。

変化に流れそうになるとき、時々ふと立ち止まることがあります。
「これは本当に患者さんのためになっているか?」
「人間の手でできること、人間にしかできないことは何か?」

便利になる一方で、私たちはますます「人間らしさ」というものを問われる時代に生きているのかもしれません。

 

明治が遠くなったように、昭和もまた遠くなり、いつか、平成すら「遠い昔」と呼ばれる日が来るでしょう。
その時、自分はどこで、何をしているのか。それとも、すでにこの世にはいないのか。

そんなとりとめもない思索にふけりながら、ふと気づきました。

——きっと昭和の人たちも、同じようなことを感じていたのだろうな、ということ。

明治が遠くなった昭和6年に、中村草田男の俳句にインスピレーションを受けて自分でも一句詠んでみましょう。

 うろこ雲 昭和はすでに 遠ざかり」

……あまり上手くありませんね、というかあまり俳句を捻ったことがないのでよくわかりません。

 

とりあえず。

昭和、平成、令和。これからどんな時代になっても一日一日を丁寧に過ごしていければと思っております。皆様どうお過ごしでしょうか。GW で大型連休の方はどうか楽しんでください。当院は飛び石みたいに今週は 診療 ⇒ 休診 ⇒ 診療 ⇒ 休診 ⇒ 診療 ⇒ 休診となっておりますので診療日になにかありましたら可能な限り対応いたします。

イラストは Chat GPT が描いた「2118 年の神奈川県」。なんだかわからないけどこんな感じではない気がします。「院長が子どもの頃描いた未来図」みたいな絵なので。

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