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新型コロナウイルス感染症の治療薬ー来月より自己負担額が(かなり)増えます

[2024.03.12]

新型コロナウイルス感染症、当院でもまだ週に少なくとも 4-5 例は陽性の患者さんがおられます。

かつては 10-40 代の若年者が多かった印象ですが、最近はもう少し上の世代で陽性者が増えてきました。

新型コロナウイルス感染症治療薬、いくつかありますが、どの薬についても来月 4 月より患者さんの自己負担額がかなり増えます。

例えばゾコーバ(エンシトレルビル)。これまで 5 日分で 9,000 円で済んでいたのですが、3 割負担ですと来月から 15,500 円くらいに上がります。ラゲブリオ、パキロビッドはさらに高額で、 3 割負担でそれぞれ 20,820 円、20,970 円となります。

値段だけみると 4 月から処方される確率があがるのはゾコーバ(他に比べるとまだ安い)かもしれませんが、ゾコーバは国内承認までに少し「いわくつき」の経緯がありました。

ゾコーバは、塩野義製薬・北海道大学が共同研究して開発され、日本を含むアジアで実施された大規模な臨床研究において、症状消失までの時間が通常より約 1 日短縮し、体内のウイルス量が早く減少すると報告されています。ただ、重症化を予防する効果は確認されていませんのでどのくらい積極的に使用するかどうかについては各施設、各医師により方針が異なります。

「いわくつき」と言ったのは臨床試験のフェーズ 2/3 の症例数や結果が国際的な基準からするとやや認めづらいものであったからです。詳細は省略しますが、フェーズ 2 の症例数が少ないことや、治験結果で「発症から 3 日以内の服用で症状が 7 日前後で消失し、症状のある期間が 24 時間ほど短縮されたことを示した」ものの、パキロビッドパックやラゲブリオのような「重症化による入院や死亡が減る」というデータは、もともと臨床試験の項目として設定されておらず、有効性の評価が難しい段階で緊急承認された、という経緯です。「国産の新型コロナウイルス治療薬を早く承認させたい」という国の意向におんぶにだっこでやや無理を通して承認された薬、という見方もできなくはありません。

いずれにしても 4 月から新型コロナウイルス感染症について、様々な変更がなされるため、われわれ医療現場の前線にいるものにとっては患者さんへの説明やなにをどう薦めるか、について病態だけでなく経済的な観点も含めた話をしなければならなくなりそうです。来月になって現場で混乱しないよう、いくつか説明用のシートを現在作成して対応する予定です。

とりあえずは手洗いやうがいを励行することをお薦めします。あと、当院をはじめ医療機関内ではマスク着用をよろしくお願いします。

 

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