新型コロナウイルス感染症はやはり厄介ーLong COVID について
当院発熱外来患者さんにおいて、インフルエンザはピークを超えた感がある一方で、COVID-19 がまた増えてきています。重症化に至るケースは 60 歳未満ー 0.01%、60・70 代ー0.26%、80 代以上ー1.86% と季節性インフルエンザよりもいずれの年代も低くなっています(厚生労働省 2022 年 12 月データによる)し、すでに 5 類ですので濃厚接触者という扱いもなくなっていますが、やはりほぼすべての学校・職場で発症後 5 日間の休養を求められます(それは正しいことと院長は考えております)。特に満員電車など人混みに行かれる際はマスクを是非着用してください。
ところで、COVID-19 の後遺症を総称して Long COVID と呼ぶことがあります。発症率についてはさまざまな報告があり、10-30% くらいとされています。ちなみにウイルス株によっても発症率は異なるようです。
よくみられるのは全身のだるさ、いわゆる倦怠感の訴えで、漢方薬は比較的こういった症状の改善に役立つことが多いためか、漢方内科を標榜している当院にも何人かの患者さんが来られています。
倦怠感は下図の表で評価し、一般的に PS 6 以上を重症 Long COVID として対応します。
治療はなかなか一筋縄ではいかず、難渋することがしばしばあります。
有名なところとしては上咽頭擦過療法で、NPO 法人日本病巣疾患研究会のウェブサイトで行っている医療機関の一覧が確認できますので、当院に来られた患者さんでこの治療の対象になりそうな場合は紹介しています。
この病態は非常に症状が多彩であるため、すべての症状に逐一西洋薬を出していると薬の数が膨大になってしまいます。そんなときは漢方をためすとうまくいくことがあります。
いわゆる参耆剤(構成生薬として朝鮮人参と黄耆の両方が入っているもの)を処方することが多く、補気健脾・補血安神・疎肝清熱の作用を有する加味帰脾湯や温補気血の作用を持つ十全大補湯が非常に有効だった患者さんがそれぞれ複数名いらっしゃいます。
しかしながら、様々な方剤をためしても全く効かず、日常生活に支障をきたす例も少なからずあり、今後もう少し基礎的な研究が進んで病態が解明されていくことを期待したいです。
いずれにせよまずは感染しないに越したことはありません。繰り返しになりますが、人混みに行かれる場合は積極的にマスクを着用することを考えてみてください。